MBAについて・破2

私が修了したUniversity of DerbyのMBA Globalでは、Blackboardという教育支援プラットフォームを使い、講師・学生間のコミュニケーションがとられました。

講義はだいたい一週間ずつ10のセクションに分かれており、各セクションの最後に課題が出ます。

テストではないので課題提出の義務はありませんが、理解を深めるためにやることが勧められています。課題はCase studyが多く、回答すれば講師からのフィードバックもきちんともらえます。ただし、成績には反映されません。

BlackboardのDiscussion forumに投稿する形で回答するのですが、他の学生の回答にコメントすることも可能です。

実際には他の学生の回答にコメントしたり、他の学生からコメントされたりすることはほとんどありませんでした。成績評価と無関係だからです。

一方、科目によっては学生間のディスカッションが成績評価に反映されることがあります。

講師がテーマを設定して、一定期間、学生同士にディスカッションさせるのですが、これがなかなか意外と面白かったです。

Global Supply Chain Management and Logisticsのディスカッションで、COVID-19パンデミック下におけるサプライチェーンマネジメントが話題になりました。

私は日本で医療資源(マスクなど個人用防護服)が不足していることを話題にしたのですが、Cheethamさんという方がかなり熱心にディスカッションに参加してくれて盛り上がりました。

Cheethamさんに対する私の回答はこんな感じです。

Hi XXX,

Thank you for your question. I did not know that PPE supply worked well in England through National Supply Disruption Response (NSDR). Thank you for your important information.

”How this has worked in a hospital setting?”

I am not sure about the management of medical supplies within the National Health Service or private hospitals in England. This might not be the answer for your question, but I would explain the current situation regarding PPE supply in Japan.

To tell the truth, there is still a little shortage of medical supplies such as surgical masks and gowns in my hospital (a general acute care hospital with 450 beds). Unfortunately, the Japanese government does not take effective measures like NSDR against this situation; therefore, hospitals must procure PPE individually. In my hospital, the supplies department manages the inventory and distribution of medical supplies within the hospital. We, medical doctors, nurses and other professionals just follow the directions given by the top management. Although the situation is improving (Ministry of Economy, Trade and Industry of Japan, 2020), use of medical mask is still restricted to one piece per day. Believe it or not, flight attendants in All Nippon Airways were making medical gowns to ease the shortage of PPE in May (JIJI Press, 2020). This indicates how vulnerable the supply chain of medical supplies in Japan is.

References

JIJI Press. (2020). ANA Starts Medical Gown Production Support. [Online] Available at: https://jen.jiji.com/jc/eng?g=ind&k=2020051800886 (Accessed: 15 June 2020)

Ministry of Economy, Trade and Industry. (2020). Current Status of Production and Supply of Face Masks, Antiseptics and Toilet Paper. [Online] Available at: https://www.meti.go.jp/english/covid-19/mask.html (Accessed: 15 June 2020)

ディスカッションする際には必ず根拠を明示しなくてはなりません。それをReferencesに載せます。

アサインメントやDissertationにおいて、参考文献・資料をHarvard reference styleに則って記載する必要がありますが、講義中のディスカッションもアカデミックに行うことを求められました。

きちんとしたエビデンスに基づいたディスカッション、<牧師>でも<検察官>でも<政治家>でもなく、<科学者>になって話し合うことは、お互いにとって有益なはずですが…やりすぎると人間関係がギクシャクするかもしれません。

お互いが<科学者>の立場を守ってずっと冷静であれば良いのですが、自分の主張で相手をやり込めようとすると議論はしばしば感情的になりますよね。正しさや事実だけ伝えられても納得はできません。

<科学者>は上から目線になりがちです。

国や文化にもよりますが、良いディスカッションの鍵となるのは、途中で落としどころ(結論)を見つけてそこにうまく相手を誘導することだと思います。場合によっては、わざと相手に誘導されることが必要かもしれません。

Accreditation of Prior (Experiential) Learning

2022年9月~University of ManchesterのMRes Public Health (Master of Public Healthコースとほぼ同じですが、より研究志向の高いコース) に入学しました。一部face-to-faceのカリキュラムがありますが、完全オンラインで履修可能なコースです。

英国のpostgraduateコースの多くがAccreditation of Prior (Experiential) Learning (APEL) をとりいれています。

APELとは、”a process that enables people of all ages, backgrounds and attitudes to receive formal recognition for skills and knowledge they already possess.”と説明されますが、大学院入学前の学習や経験(仕事やボランティアなど)を大学院カリキュラムの正式な単位として認める制度のことです。

日本ではあまりなじみのない制度だと思いますが、人生経験をきちんと評価しようという取り組みはいいですよね。

日本でこの制度を採用している大学があるのか私は知りませんが、社会人の学び直しがすすめられている今日、社会人学生にとっては嬉しい制度です。

私は入学前に同じ英国の大学でMBAプログラムを修了していたことやCourseraでPublic Healthのコースをいくつか履修していたこと、それから学術誌の編集・論文の査読をしていたことが評価され、履修が必要な180 creditsのうち60 creditsがAPELとして認められました。

入学後履修するべき科目が減りますから、大学院修了を早めることが可能です。当然、学費も安くなります。

申請書類を書くときにサンプルがなくて困りました。大学の担当者に問い合わせたところ、

The most important thing is that the credits you want to transfer are a similar field/subject to the module you want to replace. If they are similar enough, it will be more likely to get accepted.

という漠然とした回答のみでした。うーん、どうしたものか…。

インターネット上にあった様々なapplication formを参考にして書いたのが下の文章です。

ネイティブに英文校正してもらっていませんし、これが正しい書き方なのか自信はありませんが、一応認められたので載せておきます。どなたかの参考になれば幸いです。

Dear Programme Administrator,

I am applying for Accreditation of Prior (Experiential) Learning to use in the MRes Public Health programme. As requested, I enclose the following completed application, transcript and certificates.

  1. Master of Business Administration
    I graduated with a distinction in a Master of Business Administration (MBA) from the University of Derby (see attached evidence – documents 1 and 2). My dissertation entitled “X” focused on the way to improve healthcare service and management in a rapidly ageing area based on the result of patient satisfaction survey (see attached evidence – document 3). I have learnt essential management theories and skills relevant to the quality and process management of organisations through the MBA programme, and I have also gained a wide range of knowledge to improve the quality of healthcare service and the performance of healthcare organisations in the course of conducting research and writing the dissertation. I believe that this prior learning is equivalent to the learning in A module.
  2. Research activities
    I have xx medical or scientific publications, all of which are in peer-reviewed journals (see attached evidence – document 4). I have conducted quantitative research studies including cross-sectional studies, retrospective/prospective cohort studies and intervention studies. I have learnt various statistical analysis methods such as correlation analysis, simple linear regression analysis, multiple regression analysis, logistic regression analysis and survival analysis (e.g. Cox regression analysis). I used these methods to analyse clinical data in my previous studies. Furthermore, I have been active in peer review for years and have participated as a Rater for the McMaster Online Rating of Evidence (MORE) System offered through the Health Information Research Unit of McMaster University since 2017 (see attached evidence – document 5). I have served as an academic editor for several scientific journals such as B, C and D (see attached evidence – documents 6 and 7). I am also now serving as a guest editor for Special Issue “Y” in E (see attached evidence – document 8). Critical appraisal of statistical methods is essential to performing peer reviews and editorial activities for scientific journals. I have developed practical skills in statistics through these activities; therefore, my experience would be applicable for the exemption of F module.
  3. Online course on Coursera
    As mentioned above, I have conducted several clinical studies in which I have acquired knowledge and skills regarding study design, data collection, statistical analysis and interpretation of data, and published articles in academic journals (see attached evidence – document 4). I also completed some online courses on Coursera: G (see attached evidence – documents 9, 10, 11 and 12) and H (see attached evidence – document 13). My research activities and basic epidemiological methods, which I learned from online courses, would be applicable for exempting I module.

I appreciate your time and consideration. I look forward to hearing your decision.

Sincerely,

MBAについて・破

オンラインMBAの講義ではときどきウェビナーが開催されます。

出席が推奨されますが強制ではなく、レコーディングしたものを後で視聴できるので便利です。

すべての科目で必ず開催されたのはアサイメントに関するものでした。

前半は講師が各科目の達成目標とアサイメントの書き方・提出方法・締め切り・採点基準などを説明し、後半は質疑応答を受ける形式でした。

アサイメントについて説明した資料は別途ダウンロードできるので前半は聞き流してもいいのですが、後半は超重要です。資料に書いていないことを講師がしゃべります。

講師が見るポイントや課題が求めている回答のアウトライン、講義資料との関連性などちゃんと聞いておかないと良い成績はとれません。

他の学生からの質問に対する答えも参考になります。

ディスカッションはもちろん英語なのですが、講師のバックグラウンドによっては訛りがあってよく聞き取れないことが結構ありました。アフリカ大陸出身の講師とロシア出身の講師のウェビナーにリアルタイムで参加しましたが、うまく聞き取れませんでした。

リスニングはそれなりにできると思っていたのですが、ちょっとショックでした。

インド人と電話で話したときも言っていることがよく分からなかった…。

きれいな英語だけ聞いていても、グローバルでは通用しないのでしょう。私には海外在住経験がないのでそこが弱みの一つですが、英語の実践経験の重要性を痛感しました。

オンラインMBAでは講師と個人的なチャットやメールのやり取りもできるので、ガンガン質問した方が良いです。講師によってはSkypeやZoomを使ったオンラインミーティングもOKです。

オンライン大学院の良い点の一つかもしれませんが、人種差別はありません。そもそも、講師も同級生も、私が日本人であることを認識していない気がします。アジア人とは分かっていても。

しかし、それは、フラットな環境で学べるということでもあります

オンライン大学院での学びは、素材と環境は準備されている、それを生かすも殺すも自分次第、と言えるでしょう。

瞑想

私は日常生活に瞑想をとりいれているわけではありませんが、日々の稽古の中で″瞑想に似たこと″を行っています。今回は心と体のパフォーマンスを向上させる私の<瞑想法>についてお伝えしたいと思います。

そもそも<瞑想>とは何なのか。

日本語では、″目を閉じて深く静かに考えること″ですが、英語のmeditationは、”the act of giving your attention to only one thing, either as a religious activity or as a way of becoming calm and relaxed“であり、少しニュアンスが違うようです。

私が行っている″瞑想に似たこと″は英語のmeditationに近く、考えるのではなくできるだけ考えないようにします。

  1. 床の上に仰向けに寝て、手足を軽く開き手のひらを上に向ける。
  2. 手足の力を完全に抜く。
  3. 6秒かけて鼻から息を吸う。息を吸うのに合わせて腹を膨らませる。
  4. 6秒かけて鼻から息を吐く。息を吐くのに合わせて腹を凹ませる。
  5. 目は閉じてもいいし、閉じなくてもいい。
  6. 3と4を繰り返す。
  7. 呼吸に意識を集中する。呼吸のリズムだけを考える。

要は、ゆっくりと腹式呼吸を行うのです。

拙著の紹介ですが、腹式呼吸は呼吸器疾患や片頭痛などに対していくつかの健康効果が明らかとなっています。日頃から腹式呼吸を心がけることは心と体のパフォーマンスを高めてくれる可能性を秘めています。

力を抜いて、できるだけ何も考えない。

何も考えない無念無想の境地は遠いので、私は呼吸のことだけ考えるようにしています。これなら誰にでもできます。

1日のうち3分でも良いので、この<瞑想法>を行ってみてください。

自律神経のバランスを整え、リラックスすることが可能です。ぜひ、お試しください。

継続は力なり

継続は力なり。

学び、体作り、人間関係、あらゆることに共通する方法論と言って良いでしょう。

浄土宗をバックボーンに教育者として生きた住岡夜晃の言葉とされています。

世界的な名著である『7つの習慣』も、”習慣”と謳っており、続けることが大前提となっています。一朝一夕にして成功はあり得ないわけです。

生活習慣病の患者さんを診ていると、食事・運動療法の継続がいかに難しいことであるか痛感します。

薬を飲んで病気を治すような<外>の力ではなく、自分の習慣を<内>から変えていく治療法なので、基本的には患者さん次第です。

もちろん、私を含め医療従事者がやり方を説明し、計画を立て、定期的にチェックし、時に叱咤激励し、患者さんのお気持ちに共感しながら進めていくのですが、何十年もの間身に染み付いた習慣を変えるのは大変なことです。

午後3時のおやつや寝る前の果物・アイスクリーム、運動は大嫌いだし汗をかきたくない、仕事が終わったら家でゆっくりして美味しいものを食べて眠りたい…etc

美味しいものを求める脳内報酬系の力は凄まじく、なかなかブレーキが効きません。

食事・運動療法がうまくいかず、薬物療法が必要になり、薬がどんどん増えてしまう患者さんもいますが、ご自身の習慣を見直し、<内>から変わっていく患者さんもおられます。

継続できる人と継続できない人を分けるものは何でしょうか?

継続できる人はしっかり者で、継続できない人は怠け者だ、なんて短絡的な結論ではありません。

私は、<内=患者さんの心と体>と<外=家族、医療従事者、環境>の関わりこそが不可欠と考えています。

生活習慣の見直しを患者さんだけに任せると大抵うまくいきません。どこかで疲れてしまう。

まず、ご家族を巻き込みます。病気について理解してもらい、食事療法や運動療法に(ちょっとだけ)一緒に取り組んでもらいます。

医師や看護師は初めに生活習慣を変えるきっかけを作ります。ここで個々の患者さんに合ったエビデンスを使う。

外来ではできるだけダメ出しをしないようにします(ダメ出ししないといけない患者さんもいるのでケースバイケースですが)。傾聴して、病気が良い方に向かうように促すわけですが、誤解を恐れずに言えば、”指導”ではなく”誘導”に近いと思います。

患者さんの<内>が前向きになれば、自ら<外=環境>を変えようとされます。例えば、ジムに通うようになったり、お菓子を買わなくなったり。

この状態を継続させるためにはやはりまだ、<外>の力が重要です。

私が必ずお話しするのは、継続のために自分にご褒美をあげること。例えば、検査の結果が良かったら、その日は何でも好きなものを食べて、ゆっくりしていいのです。

患者さんが達成感や喜びを感じられたらうまく軌道に乗ります。たとえ途中で生活習慣が崩れてもご自身で調整されます。この時点で<外>は役割をほぼ終えます。

継続は力なり。

自分だけの問題だと考えている人が多いのではないでしょうか?

私が生活習慣病の患者さんを例にお伝えしたかったことは、何かを始め続けていくためには自分以外の力が大きく関係するということです。

そして、自分の<内>と<外>との相互作用によって<内>がバージョンアップし、継続することができるのだと思います。

FIREなんてしたくない

ここしばらく世の中ではFIRE:Financial Independence, Retire Earlyが話題です。

何らかの方法で経済的に自立し、早めに労働から解放される、という感じでしょうか。

十分にお金を稼いで老後の生活資金も心配なければ余剰資金を自分の好きなことや社会活動に使おうというアイディアはすごくいいと思うのですが、Retireする必要ある?とちょっと疑問です。

それまでの仕事(会社員など)をやめて自分のやりたいことをやるということですから、まったく働かなくなるわけではないと思いますが、その生き方は社会にフィットするのかなあというのが私の率直な感想です。

fill.mediaというウェブメディアがFIREについて分析していました。

FIREには4つのタイプ(ファット・リーン・バリスタ・コースト)があるらしく、自分のライフスタイルや生活水準・資金レベルに合ったタイプを見極めることが″正しい″FIREのために大切らしいです。

また、みんなが羨むようなFIRE達成は相当難しいらしく、ブームに踊らされないようにと釘をさしています。

私はFIREできるようなお金持ちではないですし、今後もFIREなんてできそうにないですが、たとえどんなに現金や資産があってもFIREしたくありません。

理由は2つあります。

1つ目の理由は、人間は生活に一定のリズムが必要だからです。

人間にはサーカディアンリズムという体内時計があります。朝太陽が昇れば起き、夜太陽が沈めば眠る。このリズムが崩れると健康を害します。

日中は会社に行って、夕方から夜に帰宅して寝る。この典型的なライフスタイルは実は生物学的に理にかなっています。

夜間に人工の光に照らされるような環境(夜勤など)はサーカディアンリズムを崩し、気分障害などの精神の病気が増えることが報告されています。また、因果関係は不明ですが、決まった仕事をしていない人は決まった仕事をしている人と比べ、自殺などの死亡率が高くなります。生活のリズムを失うと心がダメージを受けやすくなるのです。

もしも、自分が日中仕事しなくなったら、明日仕事に行かなくて良くなったら、このリズムを崩してしまうでしょう。社会的制約のない状況で自律的な生活は私には難しい。

2つ目の理由は、個人的な好みの問題かもしれませんが、自分と社会との関係を大事にしたいからです。

毎日決まった仕事(私の場合は外来診療)をすることで私は安心と充実感を得ることができます。

毎日決まった仕事をすることで社会とのつながりを実感し、自分の存在意義を確認している気がします。

FIREしたらこの感覚が失われるかもしれません(FIREしてないので分かりませんが)。

FIREは、果たして、<幸せ>なのでしょうか?

FIREを目指す人はFIRE後に<幸せ>が待っていると信じているはずです。でも、FIRE後のことはどうなるか分からない。FIREは<幸せ>になるための手段ですが、FIREすることが目的になってしまってはいないか。

社会が変われば生き方も変わります。

FIREして自分だけ「一抜けた」するのではなく、毎日決まった仕事をしながら、自分のやりたいこともできる社会になるようにがんばりたいですね。

MBAについて・序2

University of DerbyのMBAプログラムはtaught course (120 credits) + dissertation (60 credits) で構成されています。

私の場合、ExeJapan Business SchoolにてPostgraduate Diplomaを取得したので、60 credits分が免除になりました。(英国大学院の学位システムについて概要を知りたい方はここをご参照ください。)

ということで、残り4科目 (60 credits) とdissertation (60 credits)の履修が必要となりました。履修科目は次のようになりました。

  1. Global Supply Chain Management and Logistics
  2. Risk Management in a Global Context
  3. Strategic and Finance Performance Management
  4. Transforming Personal Skills
  5. Dissertation

University of Derbyはtrimester(3学期制)なので、Dissertation(1年)以外のmoduleの履修期間は3カ月でした。

成績評価はformative asssessment(学習過程の評価)とsummative assessment(アサインメント提出による総合評価)に分かれていますが、一部の科目を除き最終的なGradeに関係するのはsummative assessmentのみです。

アサインメントとは、与えられた課題に関して、アカデミックな論文形式で回答するものです。自分のオリジナルな意見を根拠を示しながら論じなければなりませんが、オリジナリティがなくてもきちんとした形式で正しく回答できていればpass(50点)はもらえます。

履修期間の半ばに1回、最後に1回、合計2回、1,500-3,000 wordsのアサイメントを提出しますが、英語で論文などアカデミックな文章を書いた経験があればそれほど苦労はしないと思います。採点者は2人いてかなり細かいところまで見てくれます。

英国大学院の良いところは成績評価の客観的基準がはっきりしていて、学生が対策を立てて学びやすいところです。

講義が始まると学生たちがポータルサイトのDiscussion board上で自己紹介を行うのですが、同期で東アジア人は私一人だけでした。他は英国、北欧、中東、アフリカ地域の方でした。中国人がいなかったのが意外でした。

学生のバックグラウンドは実に多彩で、大学卒の学生、歯医者、刑務官、中東地域の営業マネージャー、National Health Service(英国の国民保健サービス)の事務員などでした。

この多様性が英国大学院のオンラインMBAのだいご味と言えますが、一方でオンラインMBAの欠点は、実地に比べると学生間のコミュニケーションが深まらない点です。

WhatsAppなどのソーシャルメディアで連絡を取り合う学生もいますが、私にとって最大の障壁は「時差」でした。

講師も学生の国際的なバックグラウンドを考えて、GMTで12:00とか18:00とかにウェビナーをやるのですが、日本時間では21:00と27:00になるためリアルタイムの参加が難しかったです。

アジア地域の学生が多いコースであればそのあたりも考慮してくれるのかもしれません。

やり方にもよるとは思いますが、日本でのビジネスのための人脈や新たなビジネスチャンスを求める方にとって、英国大学院のMBAはあまり向いていないように思います。

大学院は学ぶところか?

博士課程は研究するところ、修士課程は深く学ぶところ。

博士課程は社会人が学び直す場ではない。独立した研究者になる人が行く場です。

修士課程は社会人が学び直す場になる。研究とは何かを知り、アカデミックな資料を読み解くスキルを身に付ける場です。

学ぶ社会人は目的がはっきりしているはずです。

<自分探し>のために大学院に行く人はほとんどいないでしょう。仕事や家庭を持ち、生活することのリアルを十分理解しているでしょうから。

社会人が行くのは専門職大学院や実学の分野が多いと思われます。

人生を大きく方向転換し学究の徒になる方がおられるかもしれませんが、社会人は自分の仕事に関連したことが学ぶ目的となりやすく、そのような方はごくまれだと思います。

社会人の学び直しなら学部レベルで十分、なんて考える人もいるかもしれませんが、学びはチャレンジです。大学卒業者は大学院レベルで学ぶべきですし、やはり、学位や資格の<形>をゲットした方が良いです。

形あるもの

社会人の学びに対して、何も学位や資格にこだわる必要はない、自分でオンライン講座を受講したり、書籍を読んだりすれば十分に学べるじゃないか、という意見があると思います。

まあ、その通りなのですが、今回は学位や資格といった<形>がなぜ重要なのかお伝えしたいと思います。

ボーエン博士はアメリカにおける高等教育(高校や大学卒業後に学位や資格取得を目指してさらに学ぶこと)への投資が個人と社会にどのようなインパクトがあるか調べ、学びにかかるコストと比べると経済的な利益は大したことはないが、個人のアイデンティティや才能を見出すことに大きな社会的価値があるとしました。

<形>のある学びは自分の能力の再発見につながります。

同じくアメリカの研究ですが、学位があると年収が高く(専門職学位>博士>修士>学士の順。2011年のデータで、専門職学位のある男性の年収は学士の約1.8倍、女性は約1.6倍)、失業率が低いことが報告されています。

<形>を手に入れることで社会で活躍することが期待できます。

大学院では学びが系統化されており、さらに課題・論文提出により学びが客観的に評価されるため、学びの効果が高くなります。

これらは独学では得られません。

また、学位を持っていることは国際社会でも高く評価されます。海外で働くことを考えている人は少なくとも修士以上の学位を持っていることが望ましいと思います。

日本における学位の評価は残念ながら高いとは言えません。

学位を持っていても収入や社会的地位の向上につながらないこともあるでしょう。

一方、学位という<形>を目指すことは学びをより効果的なものにしてくれるはずです。

また、国際的に通用する<形>であれば、活躍の場が広がります。

さらに、学位・資格あるいは証書など学んだことの証が<形>として残れば、満足度は一段と高くなるはずです。

社会人が学ぶのであれば、ぜひ<形>を手に入れましょう。

時間の使い方

忙しい社会人にとって、自分の勉強時間を確保することは簡単ではありません。

数時間確保しようとすれば、睡眠時間を削るしかなさそうですが、私は仕事のパフォーマンスを下げないように、夜はちゃんと寝るようにしています。

私の時間術のポイントは2つです。

  1. スキマ時間を徹底的に使う。
  2. スマホを最大限に活用する。

1. 文字通り、<徹底的に>に使います。1分、1秒単位。

診察室では必ず自分のPCをネットに繋げて、調べものやペーパーワークが出来るようにします。ひと昔前は職場で仕事中に個人の端末をネットに繋ぐことはタブーでしたが、21世紀になって20年も経った今日、そんな病院はない(はず)です。

一定の空き時間があることが分かれば、大学院のアサインメントや論文を書きます。スタッフの目が気になりますが、心を強くして取り組みます。

もちろん、きちんと仕事をすることが第一です。

患者さんを診察するときは診察に集中します。仕事で成果を出すことは、スキマ時間に自分の勉強をするための必要条件でしょう。また、スキマ時間を作るためには仕事を素早くこなしていかなければなりません。日頃から仕事の無駄を省き効率性を上げる努力をしておきます。

2. スマホは21世紀初めにおける最大のイノベーションです。今やほとんどの業務はスマホ一台で完結します。また、スマホは常に携帯可能なウェアラブル端末なので、スキマ時間活用に大いに役立ちます。

トイレには必ずスマホを持って行き、必要な情報をインプットしましょう。

ミレニアルやZ世代の方はスマホでどんどんアウトプットするのかもしれませんが、就職氷河期世代の私にとって、スマホのサイズ感では十分なアウトプットは不可能です。

スマホはほぼインプット専用、大学院のアサイメントや論文執筆に必要な情報収集に使います。

スマホでソーシャルメディアを見たりゲームをしたりすると数秒・数分がどんどん積み重なり、気づけば数時間になってしまいます。楽しいけど、もったいない気がします。

これを丸ごとインプットの時間に変えます。

スマホで集めた情報はクラウドストレージにアップロードしたりメールで転送したりして、アウトプット用のPCでいつでも利用できるようにします。

スキマ時間における作業は、インプット(移動中でも可能)とアウトプット(座って集中)の端末をほぼ完全に分けることで効率化を図ります。

そして、帰宅したら作業はやめてリラックス。

一日の時間にメリハリ、緩急をつけるようにします。

もう一つ重要なポイントは、スキマ時間を自由に使える職場環境です。社会人が家庭の時間を犠牲にすることなく、仕事中のスキマ時間に自分の勉強をしようと考えるならば、まずはそれが許される職場で働かなくてはなりません。

これこそが、社会人が学び続ける上で、最も大切なポイントかもしれません。