MPHについて・Q4-Fin

MPHについて・Q3

MPHについて・Q2

学びとリスキリングは違う

リスキリングのことを「学び直し」と訳すことが多いですが、これは誤解を招く表現だと思います。

リスキリングはReskillingであり、skillは技術・技能のことです。

つまり、リスキリングとは、”社会人が新しい職業に就いたり(転職や副業)現在の職業における適応範囲を広げたりする際に必要な技術・技能を獲得すること”です(と私は考えています)。

一方、学びにはもちろん、skillに加えknowledgeやwisdomが含まれます。

国が推奨するリスキリングのような目先の利益に囚われるものではありません。

(超少子高齢化社会にあってリスキリングによって国民の生産性を上げたいという気持ちは分かりますが、手段が目的化しないように気をつけた方がいい)

人の一生涯というスパンで観たとき、リスキリングは比較的短期的なもので、学びは長期的なものと言うこともできるかもしれません。

リスキリング中に新たな気づきを得て、それが学びにつながることもあるでしょう。

ですが、やはり、学びとリスキリングは違うものです。

リスキリングを学び直しと呼ぶことは、大人の学びは実利に結びつけるべきかのような印象を抱かせます。

(食べて、収入を増やし、社会的ポジションを上げるためには、実利を求めるのは当然なのですが)

たとえ実利を生まなくても、大人の学びは楽しくその人の人生を豊かにしてくれます。

それぞれ目的と結果は異なるはずなので、きちんと分けて考えなければ、「こんなはずじゃなかった」と後悔することになるかもしれません。

MPHについて・破

1st SemesterはHealth Promotion Theory & Methodsというコースを履修しました。

現在Final assignmentに取り組んでいますが、Mid-term assignmentの評価はexcellentには届かず…でした。

University of DerbyのMBAのassignmentと異なる点がいくつかあります。

MBAでは課題のコンテクストがある程度限定されていました。

例えば、「国際宇宙ステーションを運営する上でのリスクマネジメントについて述べよ」みたいに初めから状況設定が決まっていました。

一方、MPH(現在履修しているコースだけかもしれませんが)ではコンテクストの設定は学生に任されています。

例えば、「自分の属する国・地域など慣れ親しんだ社会環境において、健康格差を解決するためのプランを立案せよ」みたいな感じです。

私はコンテクストを限定されない方が回答しやすい(好きに書けるから)ですが、採点する側は結構大変なんじゃないかと思います。実際、MBAのassignmentはかなり細かく評価されていましたが、MPHのassignmentの評価はやや大雑把な印象を受けました。

University of Manchesterでも客観的な採点基準は事前に明示されていますが、それってコンテクストに依存するんじゃないのかと感じるところがいくつかあります。

採点者も自分の知識や経験のバイアスから逃れることはできないので、まったく知らないコンテクストをベースにした回答は評価しにくいでしょう。

ということで、今回のMPHのassignmentではコンテクストを簡潔に分かりやすく説明することが重要と感じています。我が国の健康課題についてしっかり論じたいと思います。

課題の評価しかり、論文の査読しかり、評価者次第じゃないのかと思うことがしばしばあります。

バイアスが入らないように個人情報をblindingするのですが、評価者の”好み”をblindingすることはできません。

本や映画の評価も難しいですよね。

より多くの人から肯定的に評価されたものが本当に良いものなのか、プロモーション(お金を使う)による評価の底上げをどう考えるか(実力の内?)、本当はあってはならないことですが(よくある)、著者・製作者と評価者の”つながり”がある場合どうするのか?

すべては人のなせる業と言ってしまえばそれまでですが。

MBAについて・序2

University of DerbyのMBAプログラムはtaught course (120 credits) + dissertation (60 credits) で構成されています。

私の場合、ExeJapan Business SchoolにてPostgraduate Diplomaを取得したので、60 credits分が免除になりました。(英国大学院の学位システムについて概要を知りたい方はここをご参照ください。)

ということで、残り4科目 (60 credits) とdissertation (60 credits)の履修が必要となりました。履修科目は次のようになりました。

  1. Global Supply Chain Management and Logistics
  2. Risk Management in a Global Context
  3. Strategic and Finance Performance Management
  4. Transforming Personal Skills
  5. Dissertation

University of Derbyはtrimester(3学期制)なので、Dissertation(1年)以外のmoduleの履修期間は3カ月でした。

成績評価はformative asssessment(学習過程の評価)とsummative assessment(アサインメント提出による総合評価)に分かれていますが、一部の科目を除き最終的なGradeに関係するのはsummative assessmentのみです。

アサインメントとは、与えられた課題に関して、アカデミックな論文形式で回答するものです。自分のオリジナルな意見を根拠を示しながら論じなければなりませんが、オリジナリティがなくてもきちんとした形式で正しく回答できていればpass(50点)はもらえます。

履修期間の半ばに1回、最後に1回、合計2回、1,500-3,000 wordsのアサイメントを提出しますが、英語で論文などアカデミックな文章を書いた経験があればそれほど苦労はしないと思います。採点者は2人いてかなり細かいところまで見てくれます。

英国大学院の良いところは成績評価の客観的基準がはっきりしていて、学生が対策を立てて学びやすいところです。

講義が始まると学生たちがポータルサイトのDiscussion board上で自己紹介を行うのですが、同期で東アジア人は私一人だけでした。他は英国、北欧、中東、アフリカ地域の方でした。中国人がいなかったのが意外でした。

学生のバックグラウンドは実に多彩で、大学卒の学生、歯医者、刑務官、中東地域の営業マネージャー、National Health Service(英国の国民保健サービス)の事務員などでした。

この多様性が英国大学院のオンラインMBAのだいご味と言えますが、一方でオンラインMBAの欠点は、実地に比べると学生間のコミュニケーションが深まらない点です。

WhatsAppなどのソーシャルメディアで連絡を取り合う学生もいますが、私にとって最大の障壁は「時差」でした。

講師も学生の国際的なバックグラウンドを考えて、GMTで12:00とか18:00とかにウェビナーをやるのですが、日本時間では21:00と27:00になるためリアルタイムの参加が難しかったです。

アジア地域の学生が多いコースであればそのあたりも考慮してくれるのかもしれません。

やり方にもよるとは思いますが、日本でのビジネスのための人脈や新たなビジネスチャンスを求める方にとって、英国大学院のMBAはあまり向いていないように思います。

社会人になってから学び続けるということ

このブログは、大学を2つ卒業し、大学院を2つ修了し、3つ目の大学院で学んでいる医師のブログです。

自分が学んできたことや仕事をしながら効率よく学ぶための勉強法などを伝えたいと思いこのブログを始めました。興味深いニュース・研究の備忘録としても使うつもりです。

Education at a Glance 2021: OECD Indicatorsによると、日本は、OECD加盟国の中で、GDPに占める教育支出の割合が最も低い下位25%の国に入り、人材教育にお金をかけない国になってしまいました。

また、社会人になってから大学院(高等教育)に進む人の割合も諸外国と比べ低い状況が続いています。国際的にレベルの高い教育を行っていることが日本の強みだったはずですが、このままでは貴重な人材が失われ、日本は没落してしまうでしょう。

率直に言って、大学受験のための勉強はまったく面白くありませんでした。

これからは少しずつ変わっていくのかもしれませんが、今までの受験勉強は一定のルールでハイスコアを出した者が勝つ、つまらないゲームと一緒だと思います。このゲームを面白いと思えるか、あるいは、このつまらないゲームでも根気良く続けクリアできるか、が受験の勝敗を決めます。

しかし、社会人になってからの学びは違います。

社会で生きる自分にとって、本当に必要だと分かったことや心から興味があること、面白いと思えることを学べるのです。

本来、学ぶことは楽しいことです。

もちろん、時に苦しいこともありますが、その楽しさを伝えることができたらうれしく思います。