MPHについて・Q4-Fin

論文の書き方①

MPHについて・Q3

MPHについて・Q

MPHについて・序2

英国大学院へ入学を検討する際、コースの選択や学費、英語力テストに加えて準備しなくてはならないのが、推薦状(reference letter)です。

一般的にはアカデミックなバックグラウンドを持つ人物二名から推薦状をもらい提出する必要があります(コースによってはビジネス関係でも許される)。

私の場合、大学院博士課程の指導教官とMBAのsupervisorにお願いしました。

大学院の募集要項にも”推薦状は入学選考において極めて重要である”と明記されています。

大学院側はどこの馬の骨とも分からない輩を入れるより、バックグラウンドがしっかりしていて、後々大学院の名声を高めてくれる可能性が高い人物を入れたいわけです。

忙しい中推薦状を書いてくださったお二人には感謝しかありません。こうしたつながりは大切に大切にしていきたいと思います。

ふと日本の大学院ではどうなんだろうと思い、”日本””大学院””推薦状”でネット検索してみたところ、トップに表示されたのがこのサイトです。

著名な経済学者である林文夫先生の推薦状(経済学PhD?)に関する投稿のようですが、要は、「私は甘っちょろい推薦状は書かないし、嘘は絶対書かない。推薦した学生がカスだったら私の沽券に関わるので簡単に推薦状を書いてもらえると思うな(カスども)!」という内容でした。

衝撃的だったのは、『米欧,とくにアメリカの大学院では,クラス(同じ学年の大学院生の集合)で上位2分の1あるいは3分の1に入らない学生は,徹底的に差別されます。』というくだり。

林先生が関わる超一流の大学院ともなればそうなるのでしょうか…。

アカデミックで生きていくためにはそのような覚悟が必要なのかもしれません。

一番じゃなきゃ、意味がない。

英国大学院のオンラインコースで差別されることはありません。

教える側も学ぶ側も超一流の大学院とはスタンスが違うことがひとつの原因かもしれませんが、リアルで対面することが(通常は)ないことが大きいように思います。

差別には集団を維持するための進化的な意味合いがあるのではないだろうかと思っていましたが、最近こんな本が出ていたようです。非差別が社会的正義だと知っていても、生き物としての自己保存と自己利益の最大化戦略が差別を生んでしまう。

少し話がそれましたが、推薦状を書いてもらうにしても人のつながりが大切なわけです。

大学院出願の際に改めて思いました。

MPHについて・序

MBAについて一息ついたところで、現在履修中のMPHについても言及していきたいと思います。

もともと人類学を志したこともあり、社会学系の学問にはずっと興味を抱いていました。

社会医学や公衆衛生学は医師国家試験の必修科目のひとつですが、医学の中では決して花形の分野ではありません。どちらかというと日陰の分野です。

ただ、日本においても各疾患データベースの構築とビッグデータ分析が政府主導で行われるようになり、この分野は大きな注目を集めています。

さらに、COVID-19パンデミックもあり、公衆衛生学はさらに注目を集めることとなりました。

とはいえ、MPHはPublic Healthとは一体何なのか?を学ぶコースであり、データ分析の手法のみを学ぶわけではありません。データ分析については大学院博士課程および過去の臨床研究において、ある程度学んできたので特に新しい学びがあるわけではありません(Applied Epidemilogyなど統計解析を深く学ぶ講座もありますが、私は受講しない予定です)。

私がPublic Healthを学ぼうと思ったきっかけは、パンデミック対策に関して”モヤっ”としたからです。

例えば、ロックダウン、ソーシャルディスダンス、ワクチン接種キャンペーン、マスク常用、アルコール消毒など、パンデミックを抑えるのに有効とされた種々の対策がありますが、果たしてリアルワールドにおいてどれくらい有効であるのか(であったのか)疑問を禁じ得ませんでした。

質の高い無作為化比較試験のエビデンスも出てるし、有効性は立証されてるやろ!

と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、そもそも、臨床試験の結果は”整えられた”状況におけるものであり、しばしばリアルワールドの結果と乖離します。この辺は自分で臨床研究計画を立て、研究を走らせた経験がある人には分かると思います。

COVID-19パンデミック対策に関する論文を検索するとそれはもう賛否両論の嵐で研究者の見解は全く一致していません。

製薬会社や関連する企業から資金援助がないか、研究者のバックグラウンドはどうか、など利益相反の問題も大きく、エビデンスは発表された結果通りに鵜呑みにするのは危険です。

それから、研究の再現性でもお話したように、もう一度同じ臨床試験を行っても同じ結果が出るとも限りません。

私は患者さんを診る実地医家ですが、パンデミック対策を主導するのは政府や感染症・公衆衛生学の専門家たちでした。

彼らは他人(主に先行する欧米の研究者たち)が報告した「エビデンス」を論拠に(もちろん我が国におけるエビデンスもありますが)、パンデミック対策を練ってきたわけですが、全体的な視野に欠けていた点は否めないと思います。

また、政府広報やマスメディアを利用したtop-downの情報提供ばかりで、個人やコミュニティーのbottom-upがほとんどなかったように思います。少なくとも私はそう感じました。

パンデミック対策には人々の生活・教育・経済を制限するかなり強いものが含まれますから、必ず人々の同意を得る必要がありますが、説明は不十分でした。

正しい情報を分かりやすく伝えることができる魅力的な人もいませんでした。

健康は、身体的・精神的・社会的(さらにはスピリチュアルもという考えもある)に健やかな状態と定義されます。単に、病気でない状態、ではないのです。

医学の専門家の多くはいかに病気でない状態にするかに囚われていたように思います。致死率の高い感染症であれば仕方のないことですし、対応は難しいと考えますが、リスク-ベネフィットのバランスのとれた我が国らしい道を示してほしかったです。

自分にそれができるか分かりませんが、公衆衛生について学びを深め、人々を幸せにする医療とは何かを知りたくて、University of Manchester Master of Public Health programmeに入学することにしました。

大学院は学ぶところか?

博士課程は研究するところ、修士課程は深く学ぶところ。

博士課程は社会人が学び直す場ではない。独立した研究者になる人が行く場です。

修士課程は社会人が学び直す場になる。研究とは何かを知り、アカデミックな資料を読み解くスキルを身に付ける場です。

学ぶ社会人は目的がはっきりしているはずです。

<自分探し>のために大学院に行く人はほとんどいないでしょう。仕事や家庭を持ち、生活することのリアルを十分理解しているでしょうから。

社会人が行くのは専門職大学院や実学の分野が多いと思われます。

人生を大きく方向転換し学究の徒になる方がおられるかもしれませんが、社会人は自分の仕事に関連したことが学ぶ目的となりやすく、そのような方はごくまれだと思います。

社会人の学び直しなら学部レベルで十分、なんて考える人もいるかもしれませんが、学びはチャレンジです。大学卒業者は大学院レベルで学ぶべきですし、やはり、学位や資格の<形>をゲットした方が良いです。

オンライン大学院:advantages and disadvantages

インターネットの発展により、遠く離れた場所であってもほぼリアルタイムでつながるようになりました。

パンデミックによりオンラインでの仕事・娯楽はさらに増え、リモートワークやオンラインミーティングが当たり前の時代になりました。

(本当は良くないことだと思いますが)パンデミック中、講義はオンラインのみで行う大学も多かったようです。分野にもよりますが、オンラインで完結する学びがあります。

オンライン大学院の長所と短所についてはいくつか文献がありますが、次のようにまとめられるでしょう。

<長所>

  1. 学ぶ者の時間と場所を選ばずフレキシブルである。
  2. 必要な情報へアクセスしやすい。
  3. ディスカッション・フォーラム上で学生同士、講師と学生の間のディスカッションが行われる。会話によるコミュニケーションが苦手な学生も参加しやすい。
  4. 費用対効果が高い。
  5. 学生の好みに合わせた学習内容を選択可能。
  6. 自分のペースに合わせた学習が可能。

<短所>

  1. 大学組織との関係が薄く人との交流が少ないため、強いモチベーションとタイムマネジメント能力が必要である。
  2. 得られた知識を口で説明する能力は向上しない。
  3. テストでカンニングしたり、アサイメントでコピペしたり、ずるをしやすい。
  4. ソーシャルスキルは向上しない。
  5. 実践的な技術を習得する分野、例えば、医学や工学には向いていない。社会科学や人文科学には向いている。
  6. 膨大な数のウェブサイトを使って学習することはかえって非効率かもしれない。

費用対効果が高く、フレキシブルであること。オンライン大学院の長所はこれに尽きると思います。

オンライン大学院での学びは基本的に<孤独>なので確かに強いモチベーションが必要です。ソーシャルスキルや口頭でのコミュニケーション能力の問題に関しては、技術開発が進めば今後改善されていくと思います。

分野による向き不向きも重要なポイントです。

実技の習得が必要な自然科学は完全オンラインで修了することは難しいかもしれません。オンラインコースで十分に学べるとは思いますが、face-to-faceで実地で学ぶ時間が必要になるでしょう。

オンライン大学院での学びを検討中の方は、自分のモチベーション、仕事の忙しさ、学びたい分野など総合して決めましょう。

学費

大学院での学びはいいものですが、ただではありません。

学ぶためにはお金が必要ですよね。大学院の学費は決して安くはありません。

日本の大学院で完全オンラインで修了できるコースを私は知りません。実地での受講が必須だと思います。

したがって、日本の大学院と英国大学院のオンラインコースとの直接比較は困難ですが、ここでは2022年9月時点での学費を比較してみたいと思います。

(オンライン大学院の学びは実地での学びと同等といえるのか、オンライン大学院の利点と欠点については別の機会にお話しします)

例えば、東京大学は、入学料282,000円、修士課程の授業料が535,800円/年、博士課程の授業料が520,800円/年、法科大学院の授業料が804,000円/年です。修士課程が2年だとすると、1,353,600円+αかかります。国立大学はどこも学費は同じですね。

それでは、社会人の学びとして代表的なMBAを例に比べてみましょう。

国内MBAだと一橋大学ビジネススクールが有名かと思いますが、一橋大学は国立大学ですが、ビジネススクールの学費は642,960円/年と少し高くなるようです。修了までに1,567,920円+αかかります。

続いて、早稲田大学ビジネススクール。働きながら学べる夜間主総合・夜間主プロフェッショナルコースは、入学金200,000円、授業料が1,460,000/初年度、1,660,000円/2年次で諸費合わせて修了に3,366,000円かかります。

一方、私が修了したUniversity of Derby MBA Globalは、15,450ポンド(約2,500,000円)でした。かの有名なLondon Business Schoolは(オンラインではありませんが)97,500ポンド(約15,570,000円)です。思わず目を疑いました。

有名校(大学ランキングが高い)はいずれも学費が高くなる傾向があります。

講師陣や学生のレベル、卒業後の社会的地位、人脈…など有名校には様々なメリットがあると思いますが、私は何をどのように学ぶのかが大切であって、どこで学ぶのかを理由に大学院を選ばない方が良いと考えます。

私はどちらかというと経営管理学という学問に興味があり、組織を運営する上で基礎的な知識を身に付けるためビジネススクールに入りました。また、英国大学院のオンラインコースは夜間・週末通学するプログラムよりさらにフレキシブルで、タイムマネジメントがしっかりできれば自分の生活を変える必要がまったくありません。

当初、MBAをキャリアアップや収入アップ、あるいは起業に活かすといった意思はなく、時間とお金の費用対効果を優先させました。

この辺については人によって目的が異なるので、一概にどこそこが良い、とは言えません。

ブランドを重視するならば、ランキング上位の有名校が良いのは間違いないでしょう。

ただ、学費という観点からすると、日本では圧倒的に国立大学が良いですし、海外の大学院(実際に留学するとなると生活費もかかり、莫大なお金が必要になります)ならば、英国大学院のオンラインコースは良い選択になると思います。

社会人になってから学び続けるということ

このブログは、大学を2つ卒業し、大学院を2つ修了し、3つ目の大学院で学んでいる医師のブログです。

自分が学んできたことや仕事をしながら効率よく学ぶための勉強法などを伝えたいと思いこのブログを始めました。興味深いニュース・研究の備忘録としても使うつもりです。

Education at a Glance 2021: OECD Indicatorsによると、日本は、OECD加盟国の中で、GDPに占める教育支出の割合が最も低い下位25%の国に入り、人材教育にお金をかけない国になってしまいました。

また、社会人になってから大学院(高等教育)に進む人の割合も諸外国と比べ低い状況が続いています。国際的にレベルの高い教育を行っていることが日本の強みだったはずですが、このままでは貴重な人材が失われ、日本は没落してしまうでしょう。

率直に言って、大学受験のための勉強はまったく面白くありませんでした。

これからは少しずつ変わっていくのかもしれませんが、今までの受験勉強は一定のルールでハイスコアを出した者が勝つ、つまらないゲームと一緒だと思います。このゲームを面白いと思えるか、あるいは、このつまらないゲームでも根気良く続けクリアできるか、が受験の勝敗を決めます。

しかし、社会人になってからの学びは違います。

社会で生きる自分にとって、本当に必要だと分かったことや心から興味があること、面白いと思えることを学べるのです。

本来、学ぶことは楽しいことです。

もちろん、時に苦しいこともありますが、その楽しさを伝えることができたらうれしく思います。