MPHについて・破

1st SemesterはHealth Promotion Theory & Methodsというコースを履修しました。

現在Final assignmentに取り組んでいますが、Mid-term assignmentの評価はexcellentには届かず…でした。

University of DerbyのMBAのassignmentと異なる点がいくつかあります。

MBAでは課題のコンテクストがある程度限定されていました。

例えば、「国際宇宙ステーションを運営する上でのリスクマネジメントについて述べよ」みたいに初めから状況設定が決まっていました。

一方、MPH(現在履修しているコースだけかもしれませんが)ではコンテクストの設定は学生に任されています。

例えば、「自分の属する国・地域など慣れ親しんだ社会環境において、健康格差を解決するためのプランを立案せよ」みたいな感じです。

私はコンテクストを限定されない方が回答しやすい(好きに書けるから)ですが、採点する側は結構大変なんじゃないかと思います。実際、MBAのassignmentはかなり細かく評価されていましたが、MPHのassignmentの評価はやや大雑把な印象を受けました。

University of Manchesterでも客観的な採点基準は事前に明示されていますが、それってコンテクストに依存するんじゃないのかと感じるところがいくつかあります。

採点者も自分の知識や経験のバイアスから逃れることはできないので、まったく知らないコンテクストをベースにした回答は評価しにくいでしょう。

ということで、今回のMPHのassignmentではコンテクストを簡潔に分かりやすく説明することが重要と感じています。我が国の健康課題についてしっかり論じたいと思います。

課題の評価しかり、論文の査読しかり、評価者次第じゃないのかと思うことがしばしばあります。

バイアスが入らないように個人情報をblindingするのですが、評価者の”好み”をblindingすることはできません。

本や映画の評価も難しいですよね。

より多くの人から肯定的に評価されたものが本当に良いものなのか、プロモーション(お金を使う)による評価の底上げをどう考えるか(実力の内?)、本当はあってはならないことですが(よくある)、著者・製作者と評価者の”つながり”がある場合どうするのか?

すべては人のなせる業と言ってしまえばそれまでですが。

MPHについて・序2

英国大学院へ入学を検討する際、コースの選択や学費、英語力テストに加えて準備しなくてはならないのが、推薦状(reference letter)です。

一般的にはアカデミックなバックグラウンドを持つ人物二名から推薦状をもらい提出する必要があります(コースによってはビジネス関係でも許される)。

私の場合、大学院博士課程の指導教官とMBAのsupervisorにお願いしました。

大学院の募集要項にも”推薦状は入学選考において極めて重要である”と明記されています。

大学院側はどこの馬の骨とも分からない輩を入れるより、バックグラウンドがしっかりしていて、後々大学院の名声を高めてくれる可能性が高い人物を入れたいわけです。

忙しい中推薦状を書いてくださったお二人には感謝しかありません。こうしたつながりは大切に大切にしていきたいと思います。

ふと日本の大学院ではどうなんだろうと思い、”日本””大学院””推薦状”でネット検索してみたところ、トップに表示されたのがこのサイトです。

著名な経済学者である林文夫先生の推薦状(経済学PhD?)に関する投稿のようですが、要は、「私は甘っちょろい推薦状は書かないし、嘘は絶対書かない。推薦した学生がカスだったら私の沽券に関わるので簡単に推薦状を書いてもらえると思うな(カスども)!」という内容でした。

衝撃的だったのは、『米欧,とくにアメリカの大学院では,クラス(同じ学年の大学院生の集合)で上位2分の1あるいは3分の1に入らない学生は,徹底的に差別されます。』というくだり。

林先生が関わる超一流の大学院ともなればそうなるのでしょうか…。

アカデミックで生きていくためにはそのような覚悟が必要なのかもしれません。

一番じゃなきゃ、意味がない。

英国大学院のオンラインコースで差別されることはありません。

教える側も学ぶ側も超一流の大学院とはスタンスが違うことがひとつの原因かもしれませんが、リアルで対面することが(通常は)ないことが大きいように思います。

差別には集団を維持するための進化的な意味合いがあるのではないだろうかと思っていましたが、最近こんな本が出ていたようです。非差別が社会的正義だと知っていても、生き物としての自己保存と自己利益の最大化戦略が差別を生んでしまう。

少し話がそれましたが、推薦状を書いてもらうにしても人のつながりが大切なわけです。

大学院出願の際に改めて思いました。

MPHについて・序

MBAについて一息ついたところで、現在履修中のMPHについても言及していきたいと思います。

もともと人類学を志したこともあり、社会学系の学問にはずっと興味を抱いていました。

社会医学や公衆衛生学は医師国家試験の必修科目のひとつですが、医学の中では決して花形の分野ではありません。どちらかというと日陰の分野です。

ただ、日本においても各疾患データベースの構築とビッグデータ分析が政府主導で行われるようになり、この分野は大きな注目を集めています。

さらに、COVID-19パンデミックもあり、公衆衛生学はさらに注目を集めることとなりました。

とはいえ、MPHはPublic Healthとは一体何なのか?を学ぶコースであり、データ分析の手法のみを学ぶわけではありません。データ分析については大学院博士課程および過去の臨床研究において、ある程度学んできたので特に新しい学びがあるわけではありません(Applied Epidemilogyなど統計解析を深く学ぶ講座もありますが、私は受講しない予定です)。

私がPublic Healthを学ぼうと思ったきっかけは、パンデミック対策に関して”モヤっ”としたからです。

例えば、ロックダウン、ソーシャルディスダンス、ワクチン接種キャンペーン、マスク常用、アルコール消毒など、パンデミックを抑えるのに有効とされた種々の対策がありますが、果たしてリアルワールドにおいてどれくらい有効であるのか(であったのか)疑問を禁じ得ませんでした。

質の高い無作為化比較試験のエビデンスも出てるし、有効性は立証されてるやろ!

と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、そもそも、臨床試験の結果は”整えられた”状況におけるものであり、しばしばリアルワールドの結果と乖離します。この辺は自分で臨床研究計画を立て、研究を走らせた経験がある人には分かると思います。

COVID-19パンデミック対策に関する論文を検索するとそれはもう賛否両論の嵐で研究者の見解は全く一致していません。

製薬会社や関連する企業から資金援助がないか、研究者のバックグラウンドはどうか、など利益相反の問題も大きく、エビデンスは発表された結果通りに鵜呑みにするのは危険です。

それから、研究の再現性でもお話したように、もう一度同じ臨床試験を行っても同じ結果が出るとも限りません。

私は患者さんを診る実地医家ですが、パンデミック対策を主導するのは政府や感染症・公衆衛生学の専門家たちでした。

彼らは他人(主に先行する欧米の研究者たち)が報告した「エビデンス」を論拠に(もちろん我が国におけるエビデンスもありますが)、パンデミック対策を練ってきたわけですが、全体的な視野に欠けていた点は否めないと思います。

また、政府広報やマスメディアを利用したtop-downの情報提供ばかりで、個人やコミュニティーのbottom-upがほとんどなかったように思います。少なくとも私はそう感じました。

パンデミック対策には人々の生活・教育・経済を制限するかなり強いものが含まれますから、必ず人々の同意を得る必要がありますが、説明は不十分でした。

正しい情報を分かりやすく伝えることができる魅力的な人もいませんでした。

健康は、身体的・精神的・社会的(さらにはスピリチュアルもという考えもある)に健やかな状態と定義されます。単に、病気でない状態、ではないのです。

医学の専門家の多くはいかに病気でない状態にするかに囚われていたように思います。致死率の高い感染症であれば仕方のないことですし、対応は難しいと考えますが、リスク-ベネフィットのバランスのとれた我が国らしい道を示してほしかったです。

自分にそれができるか分かりませんが、公衆衛生について学びを深め、人々を幸せにする医療とは何かを知りたくて、University of Manchester Master of Public Health programmeに入学することにしました。

MBAについて・Q2

前回、MBAのDissertationを学術誌に投稿しようということになった話をしました。

Supervisorの指導教官に論文を修正してもらい、美しいBritish Englishの論文が完成しました。

私のわがままを聞いてもらい、最初はSocial Science & Medicineという社会医学系の学術誌に投稿しましたが、あえなくReject。

その後、ElsevierのTransferシステム(かなりテキトー。キーワードだけで投稿先を選択している感じでpoorです!)により老年医学系の雑誌に投稿されましたが、Editorial decisionにてReject!

この経緯を共著者に説明したところ、「お前の論文はMBAの論文でビジネス関係なんだから、ビジネスの学術誌に投稿せいや。」とsupervisorのTaTa先生にご意見いただきました。

TaTa先生の投稿指定先はJournal of Business Research!

私は医学関係の学術誌以外は門外漢ですが、この学術誌、インパクトファクター10以上の超一流学術誌ではないですか。

TaTa先生はその後もメールで、「お前の論文はマーケティングにも関連するのだから、Journal of Marketing (IF: 17.741)とかJournal of Consumer Research (IF: 8.612)もいけるやろ。」とかなり強気のご提案。

先日、Journal of Business Researchに投稿したのですが、これからRejectに次ぐRejectを受けるのだろうなあとちょっと暗澹たる気分になりました。

しかし、専門ではないですが失うものもありません。

果敢にチャレンジしようと思います。

無事どこかにacceptされたらまたご報告いたします。

私にとって最も糧となったMBAの学びは、Dissertationを書きながらHealthcare managementについての文献に触れ、この分野をさらに学びたいと感じたことです。

経営戦略論・ファイナンス・サプライチェーン・リスクマネジメントなどいろいろな分野についてさらっと学びましたが、起業しようとか会社を大きくして利益を上げようとかは思いませんでした。

それぞれ組織を運営する上で必須の知識であり、自分の関与する組織運営に活かすつもりですが、私に響いたのはそうした個人的な視点ではありませんでした。

少し大げさですが、人間社会全体のマネジメントとして自分にできることは何かを考えるきっかけになりました。この辺はMPHでの学びにつながっていきます。

高校・大学のときに志した人類学の視点に、二十数年の時を経て戻ってきたような気がします。

広い視野をもち、自分の専門的な視座から社会をどのように見るか。そして、見えたものをどう捉えどう関わっていくのか……。

十年後にまた振り返りたいと思います。

MBAについて・Q

講義科目をすべて修了すると、1年かけてDissertationを書きます。

University of Derby MBA Globalの流れは次の通りでした。

  1. 研究計画を立て、研究計画書を大学・倫理委員会に提出する。
  2. データを集め解析する。
  3. 並行して文献を集め、literature reviewを行う。
  4. Dissertationを書く。
  5. 原稿をsupervisorに見てもらう。
  6. コメントに従って修正し再度見てもらう。
  7. OKが出たら提出する。

臨床研究と大まかな流れは一緒だったのでそれほど大変ではありませんでしたが、Dissertationの書き方についてはとても勉強になりました。

医学論文は、Introduction (Background) → Methods → Results → Discussion (Conclusions) という流れで書くことが一般的です。

MBAのDissertationでは、IntroductionとMethodsの間に、Literature reviewという1篇の総説論文に相当する分量の先行研究に対する批判的吟味が入ります。

医学論文ではIntroductionに含めることが多く、今まで”うわべをなでるような”先行研究の紹介をしていましたが、同じように書いてsupervisorに見てもらったところ、「これは批判的吟味ではなく、ただの過去の研究結果の記載である!」と思い切りダメ出しされました。

MBAの研究目的とどのように関連し、先行研究からどんなconceptual frameworkを考えたのかをじっくりと書かなくてはなりませんでした。

それから、自分のphilosophical reasoning (哲学的思考) の立場:inductive (帰納法) vs. deductive (演繹法) も説明しなくてはなりませんでした。

研究内容は定量分析だったのですが、「リアルワールドのデータから仮説検証するからinductive approachだ。」と書いたところ、「inductive approachは定性分析の場合です。あなたの研究は定量分析だからdeductive approachです。その流れで書き直すように。」と修正コメントをいただきました。この点については未だにスッキリしません。定量分析でも帰納的な研究があるのではないだろうか…。

社会学系の研究をまとめた経験がある人ならばオンラインMBAのDissertationも大丈夫だと思いますが、研究経験のない人がオンラインのみでDissertationを書くのはそれなりに大変だと思います。

大学には様々な学生サポートセンターがあり、アカデミックライティングや研究の進め方や研究倫理についてアドバイスをもらえます。

しかし、研究を立案・実施するのは自分一人(supervisorは基本的に見て、励まし、注意するだけ)です。身近に相談する人がいた方が良いと思います。

そういう意味において、MBAの同期は大切な仲間と言えるでしょう。

Dissertationを書きながら、「面白い結果が出たら学術誌に発表したいんだけど?」とsupervisorに相談していましたが、MBA修了後にsupervisorから「私の博士課程の指導教官にあなたのDissertationを見せて、直してもらってpublishしようと思うんだけど、どう?」と言ってもらえたときは嬉しかったですね。

MBA修了後も次の展開が待っていました。

オンライン大学院の学習プラットホーム

University of Manchesterの講義が始まって1カ月経ちましたが、学習プラットホームがかなり使いやすいです。

University of Derbyも同じBlackboardを使っていましたが、使いやすさが全然違います。

まず、Home画面がシンプルで分かりやすく、動作が速い。大学でこんなに差が出るのはなぜでしょうか?

オンライン大学院では、優れたEdTechプラットホームは肝心要なので、University of Derbyはもう少し頑張った方がいい。

講義資料もUniversity of Manchesterの方が数段優れています。

教科書の”ページをめくる感覚”をWeb上で再現していて、外部テキストや動画のリンクが程よいバランスで配置されています。

重要なポイントごとに(additional) Read, Reflection, Discussion, Taskといった課題が出てくるので、学習効果が最適化されている気がします。もちろん資料も2022年のコンテンツとしてUp to dateされています。(講義資料をそっくりそのままダウンロードできないのが難点です)

残念ながら、University of Derbyの資料はコンテンツのリンクが切れていたり、やや内容が古かったり、EdTechのレベルは満足いくものでありませんでした。(講義資料をすべてダウンロードできるのは良かったのですが)

学習プラットホームの良し悪しにも大学の”パワー”が反映されるのでしょうか・・・?

大学院の学習環境もいずれメタバース上で再現されるのかもしれません。

VR・ARいずれも、”いかにリアルか”が評価基準の一つになっていますが、見た目がリアルであることはそこまで重要ではない気がします。

学習体験がどれくらいリアルに近づけるかが鍵でしょう。

人間と人間のウェットなコミュニケーションをいかに再現できるか。種々の問題を孕んだウェットなコミュニケーションを、デジタルでいかに昇華できるか。

オンラインの学習プラットフォームは現在のテクノロジーにおいてはほぼ成熟しています。

情報の量や質は勝手に向上していくと思いますが、人間という生き物の間で行われるコミュニケーションの再現性を高める(高める必要があるかどうかは別として)という意味において、まだまだ開発の余地があるような気がしています。

MBAについて・破2

私が修了したUniversity of DerbyのMBA Globalでは、Blackboardという教育支援プラットフォームを使い、講師・学生間のコミュニケーションがとられました。

講義はだいたい一週間ずつ10のセクションに分かれており、各セクションの最後に課題が出ます。

テストではないので課題提出の義務はありませんが、理解を深めるためにやることが勧められています。課題はCase studyが多く、回答すれば講師からのフィードバックもきちんともらえます。ただし、成績には反映されません。

BlackboardのDiscussion forumに投稿する形で回答するのですが、他の学生の回答にコメントすることも可能です。

実際には他の学生の回答にコメントしたり、他の学生からコメントされたりすることはほとんどありませんでした。成績評価と無関係だからです。

一方、科目によっては学生間のディスカッションが成績評価に反映されることがあります。

講師がテーマを設定して、一定期間、学生同士にディスカッションさせるのですが、これがなかなか意外と面白かったです。

Global Supply Chain Management and Logisticsのディスカッションで、COVID-19パンデミック下におけるサプライチェーンマネジメントが話題になりました。

私は日本で医療資源(マスクなど個人用防護服)が不足していることを話題にしたのですが、Cheethamさんという方がかなり熱心にディスカッションに参加してくれて盛り上がりました。

Cheethamさんに対する私の回答はこんな感じです。

Hi XXX,

Thank you for your question. I did not know that PPE supply worked well in England through National Supply Disruption Response (NSDR). Thank you for your important information.

”How this has worked in a hospital setting?”

I am not sure about the management of medical supplies within the National Health Service or private hospitals in England. This might not be the answer for your question, but I would explain the current situation regarding PPE supply in Japan.

To tell the truth, there is still a little shortage of medical supplies such as surgical masks and gowns in my hospital (a general acute care hospital with 450 beds). Unfortunately, the Japanese government does not take effective measures like NSDR against this situation; therefore, hospitals must procure PPE individually. In my hospital, the supplies department manages the inventory and distribution of medical supplies within the hospital. We, medical doctors, nurses and other professionals just follow the directions given by the top management. Although the situation is improving (Ministry of Economy, Trade and Industry of Japan, 2020), use of medical mask is still restricted to one piece per day. Believe it or not, flight attendants in All Nippon Airways were making medical gowns to ease the shortage of PPE in May (JIJI Press, 2020). This indicates how vulnerable the supply chain of medical supplies in Japan is.

References

JIJI Press. (2020). ANA Starts Medical Gown Production Support. [Online] Available at: https://jen.jiji.com/jc/eng?g=ind&k=2020051800886 (Accessed: 15 June 2020)

Ministry of Economy, Trade and Industry. (2020). Current Status of Production and Supply of Face Masks, Antiseptics and Toilet Paper. [Online] Available at: https://www.meti.go.jp/english/covid-19/mask.html (Accessed: 15 June 2020)

ディスカッションする際には必ず根拠を明示しなくてはなりません。それをReferencesに載せます。

アサインメントやDissertationにおいて、参考文献・資料をHarvard reference styleに則って記載する必要がありますが、講義中のディスカッションもアカデミックに行うことを求められました。

きちんとしたエビデンスに基づいたディスカッション、<牧師>でも<検察官>でも<政治家>でもなく、<科学者>になって話し合うことは、お互いにとって有益なはずですが…やりすぎると人間関係がギクシャクするかもしれません。

お互いが<科学者>の立場を守ってずっと冷静であれば良いのですが、自分の主張で相手をやり込めようとすると議論はしばしば感情的になりますよね。正しさや事実だけ伝えられても納得はできません。

<科学者>は上から目線になりがちです。

国や文化にもよりますが、良いディスカッションの鍵となるのは、途中で落としどころ(結論)を見つけてそこにうまく相手を誘導することだと思います。場合によっては、わざと相手に誘導されることが必要かもしれません。

Accreditation of Prior (Experiential) Learning

2022年9月~University of ManchesterのMRes Public Health (Master of Public Healthコースとほぼ同じですが、より研究志向の高いコース) に入学しました。一部face-to-faceのカリキュラムがありますが、完全オンラインで履修可能なコースです。

英国のpostgraduateコースの多くがAccreditation of Prior (Experiential) Learning (APEL) をとりいれています。

APELとは、”a process that enables people of all ages, backgrounds and attitudes to receive formal recognition for skills and knowledge they already possess.”と説明されますが、大学院入学前の学習や経験(仕事やボランティアなど)を大学院カリキュラムの正式な単位として認める制度のことです。

日本ではあまりなじみのない制度だと思いますが、人生経験をきちんと評価しようという取り組みはいいですよね。

日本でこの制度を採用している大学があるのか私は知りませんが、社会人の学び直しがすすめられている今日、社会人学生にとっては嬉しい制度です。

私は入学前に同じ英国の大学でMBAプログラムを修了していたことやCourseraでPublic Healthのコースをいくつか履修していたこと、それから学術誌の編集・論文の査読をしていたことが評価され、履修が必要な180 creditsのうち60 creditsがAPELとして認められました。

入学後履修するべき科目が減りますから、大学院修了を早めることが可能です。当然、学費も安くなります。

申請書類を書くときにサンプルがなくて困りました。大学の担当者に問い合わせたところ、

The most important thing is that the credits you want to transfer are a similar field/subject to the module you want to replace. If they are similar enough, it will be more likely to get accepted.

という漠然とした回答のみでした。うーん、どうしたものか…。

インターネット上にあった様々なapplication formを参考にして書いたのが下の文章です。

ネイティブに英文校正してもらっていませんし、これが正しい書き方なのか自信はありませんが、一応認められたので載せておきます。どなたかの参考になれば幸いです。

Dear Programme Administrator,

I am applying for Accreditation of Prior (Experiential) Learning to use in the MRes Public Health programme. As requested, I enclose the following completed application, transcript and certificates.

  1. Master of Business Administration
    I graduated with a distinction in a Master of Business Administration (MBA) from the University of Derby (see attached evidence – documents 1 and 2). My dissertation entitled “X” focused on the way to improve healthcare service and management in a rapidly ageing area based on the result of patient satisfaction survey (see attached evidence – document 3). I have learnt essential management theories and skills relevant to the quality and process management of organisations through the MBA programme, and I have also gained a wide range of knowledge to improve the quality of healthcare service and the performance of healthcare organisations in the course of conducting research and writing the dissertation. I believe that this prior learning is equivalent to the learning in A module.
  2. Research activities
    I have xx medical or scientific publications, all of which are in peer-reviewed journals (see attached evidence – document 4). I have conducted quantitative research studies including cross-sectional studies, retrospective/prospective cohort studies and intervention studies. I have learnt various statistical analysis methods such as correlation analysis, simple linear regression analysis, multiple regression analysis, logistic regression analysis and survival analysis (e.g. Cox regression analysis). I used these methods to analyse clinical data in my previous studies. Furthermore, I have been active in peer review for years and have participated as a Rater for the McMaster Online Rating of Evidence (MORE) System offered through the Health Information Research Unit of McMaster University since 2017 (see attached evidence – document 5). I have served as an academic editor for several scientific journals such as B, C and D (see attached evidence – documents 6 and 7). I am also now serving as a guest editor for Special Issue “Y” in E (see attached evidence – document 8). Critical appraisal of statistical methods is essential to performing peer reviews and editorial activities for scientific journals. I have developed practical skills in statistics through these activities; therefore, my experience would be applicable for the exemption of F module.
  3. Online course on Coursera
    As mentioned above, I have conducted several clinical studies in which I have acquired knowledge and skills regarding study design, data collection, statistical analysis and interpretation of data, and published articles in academic journals (see attached evidence – document 4). I also completed some online courses on Coursera: G (see attached evidence – documents 9, 10, 11 and 12) and H (see attached evidence – document 13). My research activities and basic epidemiological methods, which I learned from online courses, would be applicable for exempting I module.

I appreciate your time and consideration. I look forward to hearing your decision.

Sincerely,

MBAについて・破

オンラインMBAの講義ではときどきウェビナーが開催されます。

出席が推奨されますが強制ではなく、レコーディングしたものを後で視聴できるので便利です。

すべての科目で必ず開催されたのはアサイメントに関するものでした。

前半は講師が各科目の達成目標とアサイメントの書き方・提出方法・締め切り・採点基準などを説明し、後半は質疑応答を受ける形式でした。

アサイメントについて説明した資料は別途ダウンロードできるので前半は聞き流してもいいのですが、後半は超重要です。資料に書いていないことを講師がしゃべります。

講師が見るポイントや課題が求めている回答のアウトライン、講義資料との関連性などちゃんと聞いておかないと良い成績はとれません。

他の学生からの質問に対する答えも参考になります。

ディスカッションはもちろん英語なのですが、講師のバックグラウンドによっては訛りがあってよく聞き取れないことが結構ありました。アフリカ大陸出身の講師とロシア出身の講師のウェビナーにリアルタイムで参加しましたが、うまく聞き取れませんでした。

リスニングはそれなりにできると思っていたのですが、ちょっとショックでした。

インド人と電話で話したときも言っていることがよく分からなかった…。

きれいな英語だけ聞いていても、グローバルでは通用しないのでしょう。私には海外在住経験がないのでそこが弱みの一つですが、英語の実践経験の重要性を痛感しました。

オンラインMBAでは講師と個人的なチャットやメールのやり取りもできるので、ガンガン質問した方が良いです。講師によってはSkypeやZoomを使ったオンラインミーティングもOKです。

オンライン大学院の良い点の一つかもしれませんが、人種差別はありません。そもそも、講師も同級生も、私が日本人であることを認識していない気がします。アジア人とは分かっていても。

しかし、それは、フラットな環境で学べるということでもあります

オンライン大学院での学びは、素材と環境は準備されている、それを生かすも殺すも自分次第、と言えるでしょう。

MBAについて・序2

University of DerbyのMBAプログラムはtaught course (120 credits) + dissertation (60 credits) で構成されています。

私の場合、ExeJapan Business SchoolにてPostgraduate Diplomaを取得したので、60 credits分が免除になりました。(英国大学院の学位システムについて概要を知りたい方はここをご参照ください。)

ということで、残り4科目 (60 credits) とdissertation (60 credits)の履修が必要となりました。履修科目は次のようになりました。

  1. Global Supply Chain Management and Logistics
  2. Risk Management in a Global Context
  3. Strategic and Finance Performance Management
  4. Transforming Personal Skills
  5. Dissertation

University of Derbyはtrimester(3学期制)なので、Dissertation(1年)以外のmoduleの履修期間は3カ月でした。

成績評価はformative asssessment(学習過程の評価)とsummative assessment(アサインメント提出による総合評価)に分かれていますが、一部の科目を除き最終的なGradeに関係するのはsummative assessmentのみです。

アサインメントとは、与えられた課題に関して、アカデミックな論文形式で回答するものです。自分のオリジナルな意見を根拠を示しながら論じなければなりませんが、オリジナリティがなくてもきちんとした形式で正しく回答できていればpass(50点)はもらえます。

履修期間の半ばに1回、最後に1回、合計2回、1,500-3,000 wordsのアサイメントを提出しますが、英語で論文などアカデミックな文章を書いた経験があればそれほど苦労はしないと思います。採点者は2人いてかなり細かいところまで見てくれます。

英国大学院の良いところは成績評価の客観的基準がはっきりしていて、学生が対策を立てて学びやすいところです。

講義が始まると学生たちがポータルサイトのDiscussion board上で自己紹介を行うのですが、同期で東アジア人は私一人だけでした。他は英国、北欧、中東、アフリカ地域の方でした。中国人がいなかったのが意外でした。

学生のバックグラウンドは実に多彩で、大学卒の学生、歯医者、刑務官、中東地域の営業マネージャー、National Health Service(英国の国民保健サービス)の事務員などでした。

この多様性が英国大学院のオンラインMBAのだいご味と言えますが、一方でオンラインMBAの欠点は、実地に比べると学生間のコミュニケーションが深まらない点です。

WhatsAppなどのソーシャルメディアで連絡を取り合う学生もいますが、私にとって最大の障壁は「時差」でした。

講師も学生の国際的なバックグラウンドを考えて、GMTで12:00とか18:00とかにウェビナーをやるのですが、日本時間では21:00と27:00になるためリアルタイムの参加が難しかったです。

アジア地域の学生が多いコースであればそのあたりも考慮してくれるのかもしれません。

やり方にもよるとは思いますが、日本でのビジネスのための人脈や新たなビジネスチャンスを求める方にとって、英国大学院のMBAはあまり向いていないように思います。