Boyer P. (2022). Ownership psychology as a cognitive adaptation: A minimalist model



Liu et al. (2025). “Turning right”? An experimental study on the political value shift in large language models



SigmaXi会員続けます:意識とは何か?



Hall et al. (2024). BilR is a gut microbial enzyme that reduces bilirubin to urobilinogen

Rosano et al. (2023). Increase in skeletal muscular adiposity and cognitive decline in a biracial cohort of older men and women.

異所性脂肪という言葉を聞いたことがありますか?

脂肪肝という言葉は耳にされたことがあると思います。肝臓や筋肉などに蓄積した脂肪のことを異所性脂肪といいます。

今回は筋肉の異所性脂肪が認知機能低下と関係しているという研究をご紹介します。

69歳から79歳の男女1634人を対象に行われた研究で、大腿部の筋肉間脂肪をCTで評価しました。認知機能は研究開始から1、3、5、8、10年目に評価されました。

大腿部の筋肉間脂肪面積は研究開始から6年目で4.85 cm2増加し、認知機能スコアは6年目から10年目までに3.20点下がっていました。この筋肉内の異常な脂肪蓄積は認知機能スコア3.60点の低下に相当していました。人種や性別による相互作用は見られませんでした。

筋肉内の脂肪組織の増加は、体全体の脂肪量や筋肉の質・量とは独立して認知機能の低下を予測できるようです。糖尿病や高血圧があってもこの関係は変わりませんでした。

高齢者全員にCT検査を行って筋肉内の脂肪量を評価するのは現実的ではありませんが、脂肪肝も含めて異所性脂肪と健康の関係は最近注目されている分野です。

内臓脂肪と同じように糖尿病、動脈硬化、心血管病(脳卒中や心臓病)のリスクであることが明らかになってきていて、体重やBMIだけでは分からないことが分かるようになってきました。

痩せている人でも隠れ脂肪肝が結構多いように感じます。

外見で分かるのは皮下脂肪ですが、皮下脂肪と内臓脂肪は別物で、それぞれ働きが異なります。

筋肉内に脂肪が蓄積すると筋肉の働き・質が悪くなります。

日ごろからよく体を動かして筋肉を使い、筋肉に脂肪がつかないようにしましょう。皮下脂肪は運動でなかなか減りませんが、内臓脂肪は運動で効果的に減らすことができます

この研究では太ももの筋肉を評価していましたが、足をよく使うことです。

やはり、スクワットと歩くことが王道なのです。


Riddell et al. (2023). Is There an Optimal Time of Day for Exercise? A Commentary on When to Exercise for People Living With Type 1 or Type 2 Diabetes

今回は研究論文ではありませんが、糖尿病患者さんの運動のタイミングについてまとめられたものがあったので紹介したいと思います。

私の注目する「時間運動生理学」と深く関連する分野です。

1. 朝か夜か

““Chronotype” is a term used to describe individuals’ preference for being a “morning person” or an “evening person” with respect to sleep patterns, physical activity patterns, work preferences, eating patterns, and energy levels. In general, individuals who are early chronotypes tend to do more physical activity in the morning and have greater overall daily energy expenditure than those who are late chronotypes. Early chronotypes also have less risk for cardiometabolic disease over their lifetime. In type 2 diabetes, having a late chronotype is associated with greater caloric intake at dinner, later bedtimes, later wakeup times, and higher A1C levels.”

「クロノタイプ」は、睡眠や身体活動、働き方、食事時間などが「朝型」か「夜型」かといった個人の特性を表していますが、概して「朝型」の人は「夜型」の人より活発でエネルギー消費が多いようです。

また、2型糖尿病患者さんにおいて、「夜型」の人は夜食べ過ぎて寝るのが遅くなる傾向があり、血糖コントロールも悪いことが分かっています。

1型糖尿病患者さんにおいても、夜運動をすると寝ている間に低血糖を起こすリスクが上がるため、どちらかというと午前中の運動が良いのでは?と書かれていました。

2. 食前か食後か?

“However, a recent systemic review suggests that postmeal mild to moderate activity may be the more favorable approach for limiting postprandial glucose excursions, at least in individuals with prediabetes or type 2 diabetes. Postmeal exercise has an acute glucose-lowering effect, as muscle contractions enhance skeletal muscle glucose uptake. Because of the acute nature of this mechanism, completing activity after each meal is likely more beneficial than only completing activity after one meal in people with prediabetes or type 2 diabetes.”

最近のシステマティックレビューによると、2型糖尿病患者さんは食後に、さらに食事を摂ったら毎回運動することで筋肉による糖取り込みが増え血糖値が下がることが分かっています。

グルコーススパイク―食後高血糖が隠れている前糖尿病段階の人ほど食後の運動効果が高いのかもしれません。

食事ごとにインスリン注射が必須の1型糖尿病患者さんの場合、高強度インターバルトレーニング(HIIT)や筋力トレーニング以外の有酸素運動であれば、食前に運動した方が運動後の低血糖リスクが減り良いのではないか?ということでした。

以下Summaryの日本語訳です。

日中の運動時間と糖尿病患者の健康状態や血糖値との関係に影響を与える潜在的なファクターの数の多さを考えると、現在の研究結果が常に一貫していないことは驚くことではありません。しかし、現在のエビデンスにはいくつか共通点があり、将来、研究の焦点となるべきものが示されています。

まず、運動は一般的に、いつ行われるかやその強度に関係なく、糖尿病患者の全体的な健康状態と血糖値を改善します。したがって、実践的な観点から見れば、糖尿病患者にとって最適な結論は、自分ができる運動ルーティンをつくることです。いつでも運動するのが最適であり、自分の生活リズムを考慮して、最適なの運動プログラムを作成することが重要です。

一部のエビデンスによれば、1型糖尿病の患者は、午前中に軽度から中強度のトレーニングを継続することで、健康になり低血糖症のリスクが下がる可能性があります。一方、午後に運動する1型糖尿病の患者は、有酸素運動(持久力トレーニング)よりもHIITや筋力トレーニングの方が血糖変動の管理により有益であるかもしれません。

もう一つの共通点は、食前の運動がインスリン感受性を向上させる一方、食後の運動が糖尿病予備群や2型糖尿病患者の血糖値を最も低下させるということです。食後の運動”exercise snack”または”burst”(つまり、各食後の短時間の運動や階段の上り下り)が、一日を通じて血糖値を管理するために効果的な方法となる可能性があります。

1型糖尿病の患者において、血糖値に影響を与えるファクターはやや複雑です。食後の有酸素運動は血糖値低下に有効ですが、低血糖のリスクが高まることを考慮する必要があります。したがって、有酸素運動の時間と強度は1型糖尿病の状態に合わせて調整されるべきです。低血糖発作が懸念される場合、食前の有酸素運動やHIIT、または食前・食後の筋力トレーニングが1型糖尿病の患者にとって有益かもしれません。運動のタイミングに関わらず、1型糖尿病の患者にはCGM(持続的な血糖モニタリング)と血糖トレンドに基づいた炭水化物の摂取が推奨されます。

糖尿病など病気をお持ちでない人の最適な運動のタイミングは分かりませんが、血糖値に関して言えば、一日の早い時間帯(午前中、遅くても夕食前まで)に運動をする方が良さそうです。

そして、夕食は少なめにすることです。

Prokopidis et al. (2022). Impact of probiotics on muscle mass, muscle strength and lean mass: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials

それでは、腸内細菌叢を改善させるために”善玉菌”を投与(プロバイオティクス)すると筋肉にどんな影響があるのか?

過去のヒトを対象とした無作為化比較試験のメタ解析論文です。Abstractを日本語訳してみました。

【要旨】プロバイオティクスはサルコペニアの進行を防ぐ可能性が示されてきたが、ヒトの筋肉量や筋力にどの程度影響があるかは不明である。この系統的レビューとメタ分析の目的は、ヒト成人の筋肉量、除脂肪量、筋力に対するプロバイオティクス補給の影響を調べることである。

PubMed、Scopus、Web of Science、Cochrane Libraryを使い、2022年6月までに出版された無作為化比較対照試験(RCT)の文献検索を行った。18歳以上の成人を対象とし、筋肉量、除脂肪量、全身の筋力(すべての筋力アウトカムの複合スコア)に対するプロバイオティクスの効果をプラセボと比較したRCTが適格とされた。群間差を評価するため、標準化平均差を利用したランダム効果逆変量モデルによるメタ解析を行った。

プロバイオティクスの筋肉量、除脂肪体重、および全身の筋力に対する効果を調査した24件の研究がメタ分析に含まれた。主な分析の結果、プラセボと比較してプロバイオティクス後に筋肉量が改善したことが明らかになった(SMD: 0.42, 95% CI: 0.10-0.74, I2 = 57%, P = 0.009)。しかし、除脂肪体重は変わらなかった(SMD: -0.03, 95% CI: -0.19 – 0.13, I2 = 0, P = 0.69)。興味深いことに、6つのRCTを分析したところ、全身の筋力の有意な増加も観察された(SMD: 0.69, 95% CI: 0.33-1.06, I2 = 64%, P = 0.0002)。

プロバイオティクスは、筋肉量と全身の筋力の両方を高めるが、除脂肪量に関して有益な効果を認めなかった。今後、異なる年齢層に共通した生理学的メカニズムを調査し、筋肉量と筋力の増加のために最適なプロバイオティクス菌株を明らかにすることが必要である。

I2>50%ということで、やや研究間の異質性(結果が一貫していない)が高かったようですが、プロバイオティクスで筋肉が増えるとは驚きです。

やはり短鎖脂肪酸が関係しているのでしょうか?

プロバイオティクスも機能性食品の一つですが、シンプルに腸の調子を整える効果以外に多様な健康効果が分かってきています。

“年を重ねても元気で長生き”の謎を解くカギの一つは、腸内細菌叢の多様性にありそうです。

MBAについて・破3

Transforming Personal Skillsという科目ではアサイメントがプレゼンテーションでした。

10分間、自分について英語でプレゼンします。

この科目では、Critical thinking・Learning style・Leaderships styleなどについて講義で学び、いくつかのフレームワークを使って自己分析を行い、プレゼンでは自分が実社会でどのように振る舞うかを説明します。

私は一般的な就職活動を経験していないので、ビジネスにおける自己分析という課題は新鮮でした。

“病院スタッフのチームワークが悪く医療の質が下がっている”という状況をどのように改善させるかという<実例>を挙げながら、Critical thinkingをコアに、変化の目まぐるしいビジネス環境を分析し、自分と組織を変化にうまく適応させていく、というような流れでプレゼンしました。

Leadership styleが組織のパフォーマンスや従業員に与える影響は大きい。変化する外部・内部環境に組織として適応できるかが組織の目的達成のカギとなる。

と言われており、私はChange leadershipを発揮したいのだと話しました。

という内容を、何度も練習して録音・録画してアサイメントを提出しました。これをリアルで出せたらかっこいいなあと妄想しながら。

聴衆を前にすらすらと英語でプレゼンできればすごいのですが、そこまでの英語力は、ないです。

実地に留学してMBAを学んでいる方は口頭ディスカッションの場も多いと思います。リアルで外国語でディスカッションできる方を心から尊敬します。

“人生100年時代”なんて言われています。英語をしゃべれないと生活できないなんてことにはならないとは思いますが、想定内外いろいろな可能性を想定して学びを続けていきたいと思います。

瞑想

私は日常生活に瞑想をとりいれているわけではありませんが、日々の稽古の中で″瞑想に似たこと″を行っています。今回は心と体のパフォーマンスを向上させる私の<瞑想法>についてお伝えしたいと思います。

そもそも<瞑想>とは何なのか。

日本語では、″目を閉じて深く静かに考えること″ですが、英語のmeditationは、”the act of giving your attention to only one thing, either as a religious activity or as a way of becoming calm and relaxed“であり、少しニュアンスが違うようです。

私が行っている″瞑想に似たこと″は英語のmeditationに近く、考えるのではなくできるだけ考えないようにします。

  1. 床の上に仰向けに寝て、手足を軽く開き手のひらを上に向ける。
  2. 手足の力を完全に抜く。
  3. 6秒かけて鼻から息を吸う。息を吸うのに合わせて腹を膨らませる。
  4. 6秒かけて鼻から息を吐く。息を吐くのに合わせて腹を凹ませる。
  5. 目は閉じてもいいし、閉じなくてもいい。
  6. 3と4を繰り返す。
  7. 呼吸に意識を集中する。呼吸のリズムだけを考える。

要は、ゆっくりと腹式呼吸を行うのです。

拙著の紹介ですが、腹式呼吸は呼吸器疾患や片頭痛などに対していくつかの健康効果が明らかとなっています。日頃から腹式呼吸を心がけることは心と体のパフォーマンスを高めてくれる可能性を秘めています。

力を抜いて、できるだけ何も考えない。

何も考えない無念無想の境地は遠いので、私は呼吸のことだけ考えるようにしています。これなら誰にでもできます。

1日のうち3分でも良いので、この<瞑想法>を行ってみてください。

自律神経のバランスを整え、リラックスすることが可能です。ぜひ、お試しください。

継続は力なり

継続は力なり。

学び、体作り、人間関係、あらゆることに共通する方法論と言って良いでしょう。

浄土宗をバックボーンに教育者として生きた住岡夜晃の言葉とされています。

世界的な名著である『7つの習慣』も、”習慣”と謳っており、続けることが大前提となっています。一朝一夕にして成功はあり得ないわけです。

生活習慣病の患者さんを診ていると、食事・運動療法の継続がいかに難しいことであるか痛感します。

薬を飲んで病気を治すような<外>の力ではなく、自分の習慣を<内>から変えていく治療法なので、基本的には患者さん次第です。

もちろん、私を含め医療従事者がやり方を説明し、計画を立て、定期的にチェックし、時に叱咤激励し、患者さんのお気持ちに共感しながら進めていくのですが、何十年もの間身に染み付いた習慣を変えるのは大変なことです。

午後3時のおやつや寝る前の果物・アイスクリーム、運動は大嫌いだし汗をかきたくない、仕事が終わったら家でゆっくりして美味しいものを食べて眠りたい…etc

美味しいものを求める脳内報酬系の力は凄まじく、なかなかブレーキが効きません。

食事・運動療法がうまくいかず、薬物療法が必要になり、薬がどんどん増えてしまう患者さんもいますが、ご自身の習慣を見直し、<内>から変わっていく患者さんもおられます。

継続できる人と継続できない人を分けるものは何でしょうか?

継続できる人はしっかり者で、継続できない人は怠け者だ、なんて短絡的な結論ではありません。

私は、<内=患者さんの心と体>と<外=家族、医療従事者、環境>の関わりこそが不可欠と考えています。

生活習慣の見直しを患者さんだけに任せると大抵うまくいきません。どこかで疲れてしまう。

まず、ご家族を巻き込みます。病気について理解してもらい、食事療法や運動療法に(ちょっとだけ)一緒に取り組んでもらいます。

医師や看護師は初めに生活習慣を変えるきっかけを作ります。ここで個々の患者さんに合ったエビデンスを使う。

外来ではできるだけダメ出しをしないようにします(ダメ出ししないといけない患者さんもいるのでケースバイケースですが)。傾聴して、病気が良い方に向かうように促すわけですが、誤解を恐れずに言えば、”指導”ではなく”誘導”に近いと思います。

患者さんの<内>が前向きになれば、自ら<外=環境>を変えようとされます。例えば、ジムに通うようになったり、お菓子を買わなくなったり。

この状態を継続させるためにはやはりまだ、<外>の力が重要です。

私が必ずお話しするのは、継続のために自分にご褒美をあげること。例えば、検査の結果が良かったら、その日は何でも好きなものを食べて、ゆっくりしていいのです。

患者さんが達成感や喜びを感じられたらうまく軌道に乗ります。たとえ途中で生活習慣が崩れてもご自身で調整されます。この時点で<外>は役割をほぼ終えます。

継続は力なり。

自分だけの問題だと考えている人が多いのではないでしょうか?

私が生活習慣病の患者さんを例にお伝えしたかったことは、何かを始め続けていくためには自分以外の力が大きく関係するということです。

そして、自分の<内>と<外>との相互作用によって<内>がバージョンアップし、継続することができるのだと思います。