MPHについて・Q4-Fin

MPHについて・Q3

MPHについて・Q2

MPHについて・Q

MPHについて・破3

Digital Publi Healthのfinal assignmentの結果が返って来ました。

Grade 76/100で何とか”Excellent”をゲットできました。

ざっくり言うと、かかりつけ医とリハビリの必要な患者さんをバーチャルリアリティで結び、仮想空間内で医療従事者と患者さんが一緒に運動療法を行う、という公衆衛生施策について論じました。

例のごとく、MBA/MPHのassignmentにおいては、現在世の中に存在しない新しい施策を論じなければならないのでテーマを何にしようか思案しましたが、今後市場規模が飛躍的に拡大するであろうバーチャルリアリティを介入方法に選んでみました。

もう少しcritical appraisalが欲しかったという評価でしたが、現時点で存在しないアプローチ(医療従事者と患者さんが同じ仮想空間に入る)なので具体的なcritical appraisalが難しかったというのが率直なところです。

ちなみに、PubMedで’virtual reality’で検索すると、20,000件以上の文献が出てきます。

2018年ころから飛躍的に文献数が増え、2022年は3,327篇の論文が発表されています。今年はさらに多くの研究結果が発表されることでしょう。

VRやAR(拡張現実)は”旬な分野”ですが、各分野において成功するかしないかは、いいものであることを実証するに尽きます。

医療の分野においては臨床で有効なのか費用対効果が妥当なのかエビデンスを示すことでしょうし、医療以外の商業的分野においてはマーケティングと顧客のリアクションが重要でしょう。本当にいいものなら売れます。

それからコストとプライシングのバランスも重要になってきます。

現時点ではエンターテインメントや教育分野以外での一般利用は進んでいないと思います。

仮想空間のリアリティ度もまだまだしょぼいですし。

どこまでリアルを追求するかバーチャルリアリティを応用する場によりけりですが、視覚・聴覚・嗅覚・触覚・(味覚)以外に、全体的にリアルさを感じる何か、が必要でしょう。

医療分野では医学生の教育に加え遠隔医療や認知行動療法に応用されています。今後は手術やカンファレンスにおいて、仮想空間で立体画像や患者さんの情報をリアルタイムに共有するといった試みがなされそうです。

実はバーチャルリアリティの利用には身体の副作用が報告されています。

Digital Publich Healthのassignmentを書く過程でいくつか文献を読みましたが、完全没入型のバーチャルリアリティゲームには目の疲労・めまい・バランス感覚の不安定化などの副作用があります。

もともと身体の弱い高齢者などはバーチャルリアリティの利用にそれなりのリスクがあると思います。ヘッドセットを外した途端、転倒して骨折、なんてことも起こりうるわけです。

さらに長期的な副作用?は不明です。

まだまだ未成熟な技術ですが、それだけに、今後の発展が期待されますね。

MPHについて・破

1st SemesterはHealth Promotion Theory & Methodsというコースを履修しました。

現在Final assignmentに取り組んでいますが、Mid-term assignmentの評価はexcellentには届かず…でした。

University of DerbyのMBAのassignmentと異なる点がいくつかあります。

MBAでは課題のコンテクストがある程度限定されていました。

例えば、「国際宇宙ステーションを運営する上でのリスクマネジメントについて述べよ」みたいに初めから状況設定が決まっていました。

一方、MPH(現在履修しているコースだけかもしれませんが)ではコンテクストの設定は学生に任されています。

例えば、「自分の属する国・地域など慣れ親しんだ社会環境において、健康格差を解決するためのプランを立案せよ」みたいな感じです。

私はコンテクストを限定されない方が回答しやすい(好きに書けるから)ですが、採点する側は結構大変なんじゃないかと思います。実際、MBAのassignmentはかなり細かく評価されていましたが、MPHのassignmentの評価はやや大雑把な印象を受けました。

University of Manchesterでも客観的な採点基準は事前に明示されていますが、それってコンテクストに依存するんじゃないのかと感じるところがいくつかあります。

採点者も自分の知識や経験のバイアスから逃れることはできないので、まったく知らないコンテクストをベースにした回答は評価しにくいでしょう。

ということで、今回のMPHのassignmentではコンテクストを簡潔に分かりやすく説明することが重要と感じています。我が国の健康課題についてしっかり論じたいと思います。

課題の評価しかり、論文の査読しかり、評価者次第じゃないのかと思うことがしばしばあります。

バイアスが入らないように個人情報をblindingするのですが、評価者の”好み”をblindingすることはできません。

本や映画の評価も難しいですよね。

より多くの人から肯定的に評価されたものが本当に良いものなのか、プロモーション(お金を使う)による評価の底上げをどう考えるか(実力の内?)、本当はあってはならないことですが(よくある)、著者・製作者と評価者の”つながり”がある場合どうするのか?

すべては人のなせる業と言ってしまえばそれまでですが。

MPHについて・序2

英国大学院へ入学を検討する際、コースの選択や学費、英語力テストに加えて準備しなくてはならないのが、推薦状(reference letter)です。

一般的にはアカデミックなバックグラウンドを持つ人物二名から推薦状をもらい提出する必要があります(コースによってはビジネス関係でも許される)。

私の場合、大学院博士課程の指導教官とMBAのsupervisorにお願いしました。

大学院の募集要項にも”推薦状は入学選考において極めて重要である”と明記されています。

大学院側はどこの馬の骨とも分からない輩を入れるより、バックグラウンドがしっかりしていて、後々大学院の名声を高めてくれる可能性が高い人物を入れたいわけです。

忙しい中推薦状を書いてくださったお二人には感謝しかありません。こうしたつながりは大切に大切にしていきたいと思います。

ふと日本の大学院ではどうなんだろうと思い、”日本””大学院””推薦状”でネット検索してみたところ、トップに表示されたのがこのサイトです。

著名な経済学者である林文夫先生の推薦状(経済学PhD?)に関する投稿のようですが、要は、「私は甘っちょろい推薦状は書かないし、嘘は絶対書かない。推薦した学生がカスだったら私の沽券に関わるので簡単に推薦状を書いてもらえると思うな(カスども)!」という内容でした。

衝撃的だったのは、『米欧,とくにアメリカの大学院では,クラス(同じ学年の大学院生の集合)で上位2分の1あるいは3分の1に入らない学生は,徹底的に差別されます。』というくだり。

林先生が関わる超一流の大学院ともなればそうなるのでしょうか…。

アカデミックで生きていくためにはそのような覚悟が必要なのかもしれません。

一番じゃなきゃ、意味がない。

英国大学院のオンラインコースで差別されることはありません。

教える側も学ぶ側も超一流の大学院とはスタンスが違うことがひとつの原因かもしれませんが、リアルで対面することが(通常は)ないことが大きいように思います。

差別には集団を維持するための進化的な意味合いがあるのではないだろうかと思っていましたが、最近こんな本が出ていたようです。非差別が社会的正義だと知っていても、生き物としての自己保存と自己利益の最大化戦略が差別を生んでしまう。

少し話がそれましたが、推薦状を書いてもらうにしても人のつながりが大切なわけです。

大学院出願の際に改めて思いました。

MPHについて・序

MBAについて一息ついたところで、現在履修中のMPHについても言及していきたいと思います。

もともと人類学を志したこともあり、社会学系の学問にはずっと興味を抱いていました。

社会医学や公衆衛生学は医師国家試験の必修科目のひとつですが、医学の中では決して花形の分野ではありません。どちらかというと日陰の分野です。

ただ、日本においても各疾患データベースの構築とビッグデータ分析が政府主導で行われるようになり、この分野は大きな注目を集めています。

さらに、COVID-19パンデミックもあり、公衆衛生学はさらに注目を集めることとなりました。

とはいえ、MPHはPublic Healthとは一体何なのか?を学ぶコースであり、データ分析の手法のみを学ぶわけではありません。データ分析については大学院博士課程および過去の臨床研究において、ある程度学んできたので特に新しい学びがあるわけではありません(Applied Epidemilogyなど統計解析を深く学ぶ講座もありますが、私は受講しない予定です)。

私がPublic Healthを学ぼうと思ったきっかけは、パンデミック対策に関して”モヤっ”としたからです。

例えば、ロックダウン、ソーシャルディスダンス、ワクチン接種キャンペーン、マスク常用、アルコール消毒など、パンデミックを抑えるのに有効とされた種々の対策がありますが、果たしてリアルワールドにおいてどれくらい有効であるのか(であったのか)疑問を禁じ得ませんでした。

質の高い無作為化比較試験のエビデンスも出てるし、有効性は立証されてるやろ!

と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、そもそも、臨床試験の結果は”整えられた”状況におけるものであり、しばしばリアルワールドの結果と乖離します。この辺は自分で臨床研究計画を立て、研究を走らせた経験がある人には分かると思います。

COVID-19パンデミック対策に関する論文を検索するとそれはもう賛否両論の嵐で研究者の見解は全く一致していません。

製薬会社や関連する企業から資金援助がないか、研究者のバックグラウンドはどうか、など利益相反の問題も大きく、エビデンスは発表された結果通りに鵜呑みにするのは危険です。

それから、研究の再現性でもお話したように、もう一度同じ臨床試験を行っても同じ結果が出るとも限りません。

私は患者さんを診る実地医家ですが、パンデミック対策を主導するのは政府や感染症・公衆衛生学の専門家たちでした。

彼らは他人(主に先行する欧米の研究者たち)が報告した「エビデンス」を論拠に(もちろん我が国におけるエビデンスもありますが)、パンデミック対策を練ってきたわけですが、全体的な視野に欠けていた点は否めないと思います。

また、政府広報やマスメディアを利用したtop-downの情報提供ばかりで、個人やコミュニティーのbottom-upがほとんどなかったように思います。少なくとも私はそう感じました。

パンデミック対策には人々の生活・教育・経済を制限するかなり強いものが含まれますから、必ず人々の同意を得る必要がありますが、説明は不十分でした。

正しい情報を分かりやすく伝えることができる魅力的な人もいませんでした。

健康は、身体的・精神的・社会的(さらにはスピリチュアルもという考えもある)に健やかな状態と定義されます。単に、病気でない状態、ではないのです。

医学の専門家の多くはいかに病気でない状態にするかに囚われていたように思います。致死率の高い感染症であれば仕方のないことですし、対応は難しいと考えますが、リスク-ベネフィットのバランスのとれた我が国らしい道を示してほしかったです。

自分にそれができるか分かりませんが、公衆衛生について学びを深め、人々を幸せにする医療とは何かを知りたくて、University of Manchester Master of Public Health programmeに入学することにしました。