MBAについて・Q

講義科目をすべて修了すると、1年かけてDissertationを書きます。

University of Derby MBA Globalの流れは次の通りでした。

  1. 研究計画を立て、研究計画書を大学・倫理委員会に提出する。
  2. データを集め解析する。
  3. 並行して文献を集め、literature reviewを行う。
  4. Dissertationを書く。
  5. 原稿をsupervisorに見てもらう。
  6. コメントに従って修正し再度見てもらう。
  7. OKが出たら提出する。

臨床研究と大まかな流れは一緒だったのでそれほど大変ではありませんでしたが、Dissertationの書き方についてはとても勉強になりました。

医学論文は、Introduction (Background) → Methods → Results → Discussion (Conclusions) という流れで書くことが一般的です。

MBAのDissertationでは、IntroductionとMethodsの間に、Literature reviewという1篇の総説論文に相当する分量の先行研究に対する批判的吟味が入ります。

医学論文ではIntroductionに含めることが多く、今まで”うわべをなでるような”先行研究の紹介をしていましたが、同じように書いてsupervisorに見てもらったところ、「これは批判的吟味ではなく、ただの過去の研究結果の記載である!」と思い切りダメ出しされました。

MBAの研究目的とどのように関連し、先行研究からどんなconceptual frameworkを考えたのかをじっくりと書かなくてはなりませんでした。

それから、自分のphilosophical reasoning (哲学的思考) の立場:inductive (帰納法) vs. deductive (演繹法) も説明しなくてはなりませんでした。

研究内容は定量分析だったのですが、「リアルワールドのデータから仮説検証するからinductive approachだ。」と書いたところ、「inductive approachは定性分析の場合です。あなたの研究は定量分析だからdeductive approachです。その流れで書き直すように。」と修正コメントをいただきました。この点については未だにスッキリしません。定量分析でも帰納的な研究があるのではないだろうか…。

社会学系の研究をまとめた経験がある人ならばオンラインMBAのDissertationも大丈夫だと思いますが、研究経験のない人がオンラインのみでDissertationを書くのはそれなりに大変だと思います。

大学には様々な学生サポートセンターがあり、アカデミックライティングや研究の進め方や研究倫理についてアドバイスをもらえます。

しかし、研究を立案・実施するのは自分一人(supervisorは基本的に見て、励まし、注意するだけ)です。身近に相談する人がいた方が良いと思います。

そういう意味において、MBAの同期は大切な仲間と言えるでしょう。

Dissertationを書きながら、「面白い結果が出たら学術誌に発表したいんだけど?」とsupervisorに相談していましたが、MBA修了後にsupervisorから「私の博士課程の指導教官にあなたのDissertationを見せて、直してもらってpublishしようと思うんだけど、どう?」と言ってもらえたときは嬉しかったですね。

MBA修了後も次の展開が待っていました。

MBAについて・序2

University of DerbyのMBAプログラムはtaught course (120 credits) + dissertation (60 credits) で構成されています。

私の場合、ExeJapan Business SchoolにてPostgraduate Diplomaを取得したので、60 credits分が免除になりました。(英国大学院の学位システムについて概要を知りたい方はここをご参照ください。)

ということで、残り4科目 (60 credits) とdissertation (60 credits)の履修が必要となりました。履修科目は次のようになりました。

  1. Global Supply Chain Management and Logistics
  2. Risk Management in a Global Context
  3. Strategic and Finance Performance Management
  4. Transforming Personal Skills
  5. Dissertation

University of Derbyはtrimester(3学期制)なので、Dissertation(1年)以外のmoduleの履修期間は3カ月でした。

成績評価はformative asssessment(学習過程の評価)とsummative assessment(アサインメント提出による総合評価)に分かれていますが、一部の科目を除き最終的なGradeに関係するのはsummative assessmentのみです。

アサインメントとは、与えられた課題に関して、アカデミックな論文形式で回答するものです。自分のオリジナルな意見を根拠を示しながら論じなければなりませんが、オリジナリティがなくてもきちんとした形式で正しく回答できていればpass(50点)はもらえます。

履修期間の半ばに1回、最後に1回、合計2回、1,500-3,000 wordsのアサイメントを提出しますが、英語で論文などアカデミックな文章を書いた経験があればそれほど苦労はしないと思います。採点者は2人いてかなり細かいところまで見てくれます。

英国大学院の良いところは成績評価の客観的基準がはっきりしていて、学生が対策を立てて学びやすいところです。

講義が始まると学生たちがポータルサイトのDiscussion board上で自己紹介を行うのですが、同期で東アジア人は私一人だけでした。他は英国、北欧、中東、アフリカ地域の方でした。中国人がいなかったのが意外でした。

学生のバックグラウンドは実に多彩で、大学卒の学生、歯医者、刑務官、中東地域の営業マネージャー、National Health Service(英国の国民保健サービス)の事務員などでした。

この多様性が英国大学院のオンラインMBAのだいご味と言えますが、一方でオンラインMBAの欠点は、実地に比べると学生間のコミュニケーションが深まらない点です。

WhatsAppなどのソーシャルメディアで連絡を取り合う学生もいますが、私にとって最大の障壁は「時差」でした。

講師も学生の国際的なバックグラウンドを考えて、GMTで12:00とか18:00とかにウェビナーをやるのですが、日本時間では21:00と27:00になるためリアルタイムの参加が難しかったです。

アジア地域の学生が多いコースであればそのあたりも考慮してくれるのかもしれません。

やり方にもよるとは思いますが、日本でのビジネスのための人脈や新たなビジネスチャンスを求める方にとって、英国大学院のMBAはあまり向いていないように思います。

学費

大学院での学びはいいものですが、ただではありません。

学ぶためにはお金が必要ですよね。大学院の学費は決して安くはありません。

日本の大学院で完全オンラインで修了できるコースを私は知りません。実地での受講が必須だと思います。

したがって、日本の大学院と英国大学院のオンラインコースとの直接比較は困難ですが、ここでは2022年9月時点での学費を比較してみたいと思います。

(オンライン大学院の学びは実地での学びと同等といえるのか、オンライン大学院の利点と欠点については別の機会にお話しします)

例えば、東京大学は、入学料282,000円、修士課程の授業料が535,800円/年、博士課程の授業料が520,800円/年、法科大学院の授業料が804,000円/年です。修士課程が2年だとすると、1,353,600円+αかかります。国立大学はどこも学費は同じですね。

それでは、社会人の学びとして代表的なMBAを例に比べてみましょう。

国内MBAだと一橋大学ビジネススクールが有名かと思いますが、一橋大学は国立大学ですが、ビジネススクールの学費は642,960円/年と少し高くなるようです。修了までに1,567,920円+αかかります。

続いて、早稲田大学ビジネススクール。働きながら学べる夜間主総合・夜間主プロフェッショナルコースは、入学金200,000円、授業料が1,460,000/初年度、1,660,000円/2年次で諸費合わせて修了に3,366,000円かかります。

一方、私が修了したUniversity of Derby MBA Globalは、15,450ポンド(約2,500,000円)でした。かの有名なLondon Business Schoolは(オンラインではありませんが)97,500ポンド(約15,570,000円)です。思わず目を疑いました。

有名校(大学ランキングが高い)はいずれも学費が高くなる傾向があります。

講師陣や学生のレベル、卒業後の社会的地位、人脈…など有名校には様々なメリットがあると思いますが、私は何をどのように学ぶのかが大切であって、どこで学ぶのかを理由に大学院を選ばない方が良いと考えます。

私はどちらかというと経営管理学という学問に興味があり、組織を運営する上で基礎的な知識を身に付けるためビジネススクールに入りました。また、英国大学院のオンラインコースは夜間・週末通学するプログラムよりさらにフレキシブルで、タイムマネジメントがしっかりできれば自分の生活を変える必要がまったくありません。

当初、MBAをキャリアアップや収入アップ、あるいは起業に活かすといった意思はなく、時間とお金の費用対効果を優先させました。

この辺については人によって目的が異なるので、一概にどこそこが良い、とは言えません。

ブランドを重視するならば、ランキング上位の有名校が良いのは間違いないでしょう。

ただ、学費という観点からすると、日本では圧倒的に国立大学が良いですし、海外の大学院(実際に留学するとなると生活費もかかり、莫大なお金が必要になります)ならば、英国大学院のオンラインコースは良い選択になると思います。

MBAについて・序

私は理学部と医学部卒業であり、経済・経営のことはど素人でしたが、社会人になり、経済・経営を学ぶことは世の中の仕組みを知るために必須、と気づきました。

大学生の頃に気づいていればまた違った人生になったかもしれません。

若い医師は患者さんの診療に集中できますが、医長・科長・部長と役職が上がるにしたがい、病院経営にもコミットメントが求められます。将来、開業を見据えていた私は、ビジネスとマネジメント=MBAを学ぶ必要性を感じていました。

ランキングの高いMBA(Harvad、Stanford、London Business Schoolなど)に対する憧れもありましたが、フルタイムで働き扶養家族のいる自分には現実的ではありませんでした。

仕事をしながらMBA取得を目指すならオンラインMBAしかない、ということでグロービス経営大学院と英国大学院のMBAにtop-upが可能なExeJapan Business Schoolに問い合わせしました。

そこで出逢ったのがK先生です。

50通を超えるメールのやり取りを行い、面談をして、ExeJapan Business Schoolを選択しました。グロービス経営大学院も魅力的でしたが、自分の英語力を磨きたい/活かしたいという希望と、オンラインとはいえ英国大学院での学びがどんなものなのか知りたくてK先生の学校に入学しました。

K先生はバイタリティに溢れる方で、日本で真のMBAを広めるべく精力的に活動されています。

お話して感じたのは、先生の生徒一人一人に対する想いです。ビジネススキルや年収など俗っぽいことだけではなく、MBAを学ぶことで人生が変わる、人として成長することを期待されているようでした。

また、ExeJapan Business Schoolのtop-upというシステム(Qualifiによる大学院入学レベルの資格認定)は英語力の試験が免除されるという点も大きな魅力でした。

一般的に、英国大学院ではIELTSやTOEFLのスコア提出が求められますが、英語のスキルを高めることが本当の目標ではない場合、そのような試験勉強のために時間を費やすのは実にもったいないと思います。

ただでさえ時間的制約のある社会人にとって、本当に学びたいことに集中的に時間とお金を使うことが重要だと思います。

2020年5月、無事にUniversity of Derby MBA Globalプログラムに入学することになりました。