どんどん進む“ホワイト社会”、その一方で…。
“ホワイト社会”は岡田斗司夫氏が提唱した概念で、「見た目の美しさ・清潔感、言葉と行動の正しさが評価基準となる社会」のことです。
彼の言う、他者からの評価によって個人の価値が決まる評価経済の文脈で生まれた概念です。
岡田氏は、現代社会では「きれいな人」「いい人」が評価されるので、徹底していい人戦略を取った方が得をすると言ってました。
良いことも悪いこともさらけ出して主張するなんてことは時代遅れで、そんな人は評価されないどころか社会から淘汰されるというわけです。
最近、政治家や芸能人が、不倫やハラスメントなどのコンプライアンス違反で批判されることが多い気がしますが、これもホワイト社会的です。一般的に「悪いこと」なので批判されるのは当然と言えば当然ですが、昔に比べて激しい批判となっています。
ホワイトでない行為を行ったために窮地に立たされる政治家や芸能人も増えてきました(しかし、政治家や芸能人の破廉恥な行為は目に余る。人は身の丈を超えるお金や権力を持つと腐敗するのだ)。
そして、AIがホワイト社会を強化します。
OpenAIの倫理的ガイドラインを見てみましょう(ChatGPT本人に聞きました)。
- 使用ポリシーと安全設計(Use Case Policy & Safety by Design)
ChatGPTは、暴力・差別・誤情報・ハラスメント・プライバシー侵害・違法行為の助長などを禁止する厳格な使用ポリシーに基づいて設計されています。
モデルはユーザーの入力を検知し、これらに該当する場合は応答拒否・中立化するよう訓練されています。 - Alignment(アライメント)原則
これは「AIが人間の価値観や意図に沿うようにする」ための研究分野で、OpenAIの開発方針の中核です。AIは人間の意図・価値・文脈を理解して尊重するように設計されていて、誤解や害を防ぐために、過度な推測・創作・不確実な断定を避けるように訓練されています。 - OpenAIの倫理的行動規範(OpenAI Charter)
OpenAIは以下の原則を「Charter(綱領)」として公開しています:
・人類全体の利益のためにAIを開発する
・広く利用されるようにするが、悪用には断固として対処する
・安全性のあるAIを最優先に研究・展開する
・AIが他の人々にも安全に研究・競争されるように協力する
まがうことなきホワイトです。
人間がAIとのコミュニケーションを繰り返すほど、AIが学習するとともに、人間もホワイト化することが予想されます。
ホワイトでない言説はやんわりと否定され、AIは適切な解を提示してくれません。
不合理で面倒くさい人間ではなく、合理的なAIとばかりコミュニケーションをとっているとホワイト度が先鋭化して行き、うわべだけきれいで害のないのっぺらぼうのような存在になる人もいるかもしれません。
人々がホワイト化して行く一方、社会や国家はまったくホワイトになりません。
きれいごとは訴えますが、世の中悪いことだらけです。
お金と権力が絡むと人も社会も容易にダークサイドに落ちます。
個人だけがホワイトであることを求められ、他人とは表面的なコミュニケーションしかとらない社会は、いかにも窮屈ですね。
