女性の涙は男性の争いを収め、平和に貢献するかもしれない―
マウスの涙には攻撃性を弱める効果があることが報告されていますが、人間の涙にもそういう効果があるという研究です。
イスラエルからの報告というのが、今般の世界情勢を見るとある種の皮肉のように思えます。
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マウスの涙には、さまざまな社会的な化学信号を伝える効果があり、オスの攻撃を阻害する効果も含まれている。ヒトの涙にも男性のテストステロンを低下させる化学信号が含まれているが、その社会的な意義は不明であった。
テストステロンの低下は攻撃性の低下と関連しているため、ヒトの涙がマウスの涙と同様に男性の攻撃性を低下させる作用があるという仮説を検証した。
攻撃性はpoint subtraction aggression paradigm (PSAP)というオンラインゲームにおいて、参加者が経験した挑発の回数に対する報復応答の回数の比率（APR）で評価された。
感情的な女性の涙のにおいを嗅ぐことで、ヒトの男性の攻撃性が43.7％減少した。この効果の元となる末梢の脳基盤を調べるため、62のヒト嗅覚受容体に涙刺激を与え、この刺激に応答する4つの受容体 (OR2J2, OR11H6, OR5A1, OR2AG2) を同定した。
最後に、この効果の中枢の脳基盤を調べるため、機能的な脳イメージング (fMRI) を使った実験を繰り返した。女性の涙のにおいを嗅いでいるときは、攻撃性と関連する脳領域（前頭前皮質と前頭皮質）がオンラインゲーム中に怒っていたときほど活性化していなかった。女性の涙のにおいを嗅ぐことが嗅覚と攻撃性の神経基盤の機能的なつながりを強め、攻撃性に関する神経活動を低下させることがわかった。
本研究の結果は、マウスと同様に、ヒトの涙による化学信号が男性の攻撃性を低下させることを示唆している。涙には攻撃をやさしく包み込む”化学的なブランケット”のようなメカニズムがあるのかもしれない。
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この研究で検証されているのは「感情的になって流れた女性の涙のにおい」の効果です。
個人的には「悲痛な面持ちで泣いている女性の顔」を見て男性の攻撃性がどのように変化するか知りたいですね。
私は女性の涙を見ると動揺しますが、世の男性諸君はどうでしょうか？
嗅覚刺激と攻撃性の関連が見られたわけですが、視覚や聴覚など他の神経刺激と攻撃性の関係について調べてみても面白いかもしれません。
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