SigmaXiから機関誌American Scientistが送られてきました。
111巻4号の目次に目を通すと…
198 Approximating Reality: 数理モデルを研究に応用する場合は意図とスキルが必要。
200 Predicting an Aging and Changing World: 未来に備えるための過去と現在の研究。
204 Bias Optimizer: ChatGPTのようなAIツールは人類の最悪な性質を拡大させる。その傾向を修正するのは簡単ではない。
208 Modelling a Greener Future: エネルギー転換の経済的な根拠。
…etc
目次だけで少しわくわくするような内容ではありませんか。
最も目を引いた111巻5号の”Time Is an Object”を読んでみました。
時間の定義は物理学者によって異なり現代においても一致していません。
例えば、ニュートンによると、時間は固定化していて、ただ過ぎ去り、変わることがない、生活の外にある”背景”みたいなもの、アインシュタインによると、時間は過去も現在も未来も相対的なもので、”しつこく続く幻想”みたいなものとされてきました。
一方、Assembly theoryという理論では時間は物理学的に確かな大きさがあり、分子レベルで測定可能なモノらしいのです。
“The passing of time is not only intrinsic to the evolution of life or our experience of the universe. It is also the ever-moving material fabric of the universe itself. Time is an object. It has a physical size, like space. And it can be measured at a molecular level in laboratories.”
時間は進化を経て生じたモノの特性として定量化できるらしい。
ここで進化かー!という感じですが、モノを点としてとらえるのではなく、選択と進化によって複雑化していく構造体?としてとらえると、時間も定量化可能ということなのでしょうか。
実際に時間をどうやって定量化するのかよく分かりませんでしたが、ポテンシャルの高い理論のように感じました。
日本語では「アセンブリ理論」というのでしょうか。
地球外生命体が存在する確率を計算するための理論としても応用されているようです。
最近のNatureにAssembly theory explains and quantifies selection and evolutionという記事が出ていました。
半信半疑で入会したSigmaXiでしたが、このAmerican Scientistが無料で送られてくるだけでも相応の価値があるかもしれません。知的好奇心を刺激されます。
次号を楽しみにしています。
