とても興味深い研究結果が発表されました。
筆頭著者はMurata Shunsuke氏、日本人研究者です。スウェーデン・カロリンスカ研究所からの報告です。
まず、AbstractをChatGPT先生に訳してもらいます。
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非常に長寿な人々と寿命の短い人々が同じような年齢のときに測定された生体マーカーのプロファイルを比較することで、老化プロセスの理解を深めることができる。
この研究の目的は、(i) 100歳まで生きる個人と寿命の短い人々との間で生体マーカーのプロファイルを比較すること、(ii) 特定の生体マーカーの値と100歳に達する可能性との関連を調査すること、および (iii) 寿命の長い人が年齢を重ねるにつれて生体マーカーのプロファイルがどのように変化するか/変わらないかを調べることである。
1985年から1996年までに生体マーカーに関するベースラインデータを調べたAMORISコホート(スウェーデン)の参加者を対象とし、最長35年間追跡した。代謝、炎症、肝臓、腎臓、貧血、栄養状態の生体マーカーについて、ロジスティック回帰・クラスター分析を用いて解析した。
1224人の参加者(84.6%が女性)が100歳まで生きた。100歳まで生きた被験者は、血液中の総コレステロールと鉄の値が高く、血糖、クレアチニン、尿酸、AST、γGTP、ALP、LDH、総鉄結合能力の値が低かった。全体として寿命の長い人々は、比較的同じような生体マーカーのプロファイルであった。
100歳以上長生きする人は、100歳以前に死亡した人と比較し、65歳以降で一般的な生体マーカーがより良好な値を示していた。これらの生体マーカーの値に影響がある遺伝因子およびライフスタイルが、特別な長寿に重要な役割を果たす可能性を示唆している。
(相変わらずChatGPT先生の日本語訳はいまいちなのでかなり意訳・修正しました)
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総コレステロールと鉄の値が高い、というのは重要なポイントです。
コレステロールにはいくつかサブタイプがありますが、残念ながらこの研究では、HDLコレステロールやLDLコレステロールとの関連については調べられていませんでした。
素直に考えれば、LDLコレステロールが低くてHDLコレステロールが高い方が長生きしそうですが、仮にLDLコレステロールが低すぎても寿命を短くするということがあるならば、心血管疾患の予防のために世界中でめちゃくちゃたくさん使われているスタチンの使い方も考えなければなりません。
スタチンのを飲むと総コレステロール値は必ず下がります。
鉄はやはり、全身に酸素を運ぶ働きが重要ということかもしれません。貧血がなくても潜在的に鉄が不足している人は多い(特に女性)ので、適切な鉄分摂取が勧められます。
血糖値と腎機能・肝機能は当然の結果と言えるでしょう。
空腹時血糖値なのか随時血糖値なのか論文中にはっきり書かれていないのどちらが寿命に影響を与えるのかまでは分かりませんが、糖尿病あるいは脂肪肝(最近はMetabolic dysfunction-associated fatty liver diseaseと呼びます)、腎機能障害は寿命を短くするリスクファクターです。
“観察研究なので相関関係は分かるが因果関係は不明である”といういつものlimitationは付きますが、実にsuggestiveな研究だと思います。
遺伝因子と環境因子の寄与度を深く掘り下げてくれる次の研究が期待されますね。
論文はこちらで全文読めます。
