世の中には無数のサプリメントがあります。日常的にサプリメントを飲んでいる方も多いと思います。
サプリメントには確かな健康効果がありますが、病気を治す治療薬ではなく、あくまでも補助食品として考えるべきものです。
厚生労働省の立場も「健康食品を含むすべての食品は、疾病の予防・治療を目的に用いるものではありません。」となっており、ざっくり言うと「食べてもいいけどあんまり効かないかもしれんし安全性の保証はできないよ。」というスタンスです。
(厚生労働省eJIMにサプリメントに関するページがありますが、米国NIHのページを日本語訳しただけというかなりお粗末なものです。日本人としてこれは恥ずかしい)
今回紹介する論文は、植物成分を含むスポーツサプリメントの正当性を検証したケースシリーズです。
コーエンらは、刺激物や筋肉増強剤として機能する可能性のある植物や植物化合物であるR. vomitoria、methylliberine、halostachine、octopamine、またはturkesteroneが成分表示された57のスポーツサプリメントを化学的に分析した。
成分表示通りのサプリメントはたった34個だけだった。そのうち6つはほぼ正しい量を含んでいたが、28個は不正確で、成分量は0.02%から334%まで大きく変動していた。
研究チームはまた、テストされた製品のうち7つが、米国食品医薬品局(FDA)によって禁止された少なくとも1つの化合物を含んでいることを発見した。
潜在的に有害な化学物質が混入したサプリメントは過去に数百種が特定されている。FDAは、食料品店の棚に並ぶ前にサプリメントを検証・承認する権限を持っていないが、コーエンらは「少なくともラベルの成分表示は正しく記載する必要がある」と述べている。
この研究の結果から、市場に流通しているサプリメントが安全で効果的であり、広告通りの成分を含んでいるとは限らないと考えられる。
コーエンらは、「どのサプリメントを買うか決定する際には、最大限の慎重さを持つべきだ」と警告している。よく「脂肪を燃焼する」とか、「パフォーマンスを向上させる」といった広告を見るが、あまりにも出来過ぎた効果の広告はおそらく本当ではないだろう。
日本のサプリメント市場においても同様のことが言えるのではないでしょうか?
今回の研究はスポーツサプリメントでしたが、若返りや美容への効果を謳ったサプリメントはさらに怪しいのではないでしょうか?
一般の人には購入前にサプリメントの成分を検証することができません。成分表示を信じるしかない。
臨床研究で確実に効果が立証されたサプリメントだけ使うようにするか、もうサプリメントは使わないか、リスクを承知で使いたいサプリメントを使い続けるか…よく考えないといけないですね。
※論文はこちらから。
