本ブログでも度々ご紹介しているUKバイオバンクのデータを解析した研究報告です。
ウェアラブルデバイスの一つ、加速度計によって測定した日常生活における活動量とがんの発症リスクについて調べています。
運動ではなく普段の生活の身体活動の影響を調べたところがポイントです。
何か目的をもって行うエクササイズと区別して、このような身体活動のことをNon-exercise activity thermogenesis (NEAT)と呼びます。
クリニカルクエスチョンは”1,2分に満たない強度の高い日常生活行動は、運動習慣のない人々においてがんの発症リスクと関連するのか?”
強度の高い日常生活行動とは、例えば、四つん這いになって床をふくような掃除、スーパーで重い買い物袋を持ちながら行う買い物、庭の雑草取り、急いで歩くなどが含まれます。
運動習慣のない22,398人(平均年齢62.0±7.6歳,女性54.8%)を平均6.7±.1.2年追跡したところ、2356例のがんが発症し、そのうち1084例は運動不足と関係があるがん種でした。
ほとんどの強度の高い日常生活行動は最大1分間ほどでしたが一日のうち断続的に行うことによって(1日あたり計4.5分)、全がんの発症リスクが20%下がり、運動不足と関係があるがん種では発症リスクが31%下がっていました。
全がんおよび運動不足と関係があるがん種の発症リスクを下げる強度の高い日常生活行動の最小値はそれぞれ3.4分と3.7分でした。
運動習慣がない人でも日常生活において体の動きを高めればがんを発症しにくくなるというエビデンスですが、かなりインパクトが大きい研究だと思います。
20-30%のリスク低下は数値として大きいですし、何よりも定期的に運動をしなくても日常生活で動けば健康に良いんだというメッセージが多くの人に響くのではないでしょうか。
しかも、たった3-4分、1分×3-4回/日で良いわけです。
運動は継続するのが難しいので、なかなか継続できない人や運動を始めるモチベーションが上がらない人にとっては朗報です。
患者さんの中には農作業やDIYなどを日常的にやっている方がいらっしゃいますが、そのような方は十分な運動療法を行っていると言っていいでしょう。
定期的な運動を加えればさらに良い効果があるかもしれませんが、日常生活行動をうまく利用することがカギとなります。
NEATを高めて健康に。
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