異所性脂肪という言葉を聞いたことがありますか?
脂肪肝という言葉は耳にされたことがあると思います。肝臓や筋肉などに蓄積した脂肪のことを異所性脂肪といいます。
今回は筋肉の異所性脂肪が認知機能低下と関係しているという研究をご紹介します。
69歳から79歳の男女1634人を対象に行われた研究で、大腿部の筋肉間脂肪をCTで評価しました。認知機能は研究開始から1、3、5、8、10年目に評価されました。
大腿部の筋肉間脂肪面積は研究開始から6年目で4.85 cm2増加し、認知機能スコアは6年目から10年目までに3.20点下がっていました。この筋肉内の異常な脂肪蓄積は認知機能スコア3.60点の低下に相当していました。人種や性別による相互作用は見られませんでした。
筋肉内の脂肪組織の増加は、体全体の脂肪量や筋肉の質・量とは独立して認知機能の低下を予測できるようです。糖尿病や高血圧があってもこの関係は変わりませんでした。
高齢者全員にCT検査を行って筋肉内の脂肪量を評価するのは現実的ではありませんが、脂肪肝も含めて異所性脂肪と健康の関係は最近注目されている分野です。
内臓脂肪と同じように糖尿病、動脈硬化、心血管病(脳卒中や心臓病)のリスクであることが明らかになってきていて、体重やBMIだけでは分からないことが分かるようになってきました。
痩せている人でも隠れ脂肪肝が結構多いように感じます。
外見で分かるのは皮下脂肪ですが、皮下脂肪と内臓脂肪は別物で、それぞれ働きが異なります。
筋肉内に脂肪が蓄積すると筋肉の働き・質が悪くなります。
日ごろからよく体を動かして筋肉を使い、筋肉に脂肪がつかないようにしましょう。皮下脂肪は運動でなかなか減りませんが、内臓脂肪は運動で効果的に減らすことができます。
この研究では太ももの筋肉を評価していましたが、足をよく使うことです。
やはり、スクワットと歩くことが王道なのです。
