米国では、野菜などの生鮮食品が入手困難な地域は“Food Desert”(食の砂漠)と呼ばれ、ファストフード店が多く生鮮食品を取り扱う店が少ない地域は“Food Swamp”(食の沼)と呼ばれているそうです。
そのような地域特性と肥満に関連したがんによる死亡との関係を調べた研究です。
肥満に関連したがんは、子宮内膜がん、食道腺がん、胃噴門部がん、肝臓がん、腎がん、多発性骨髄腫、髄膜腫、膵臓がん、大腸がん、胆嚢がん、乳がん、卵巣がん、甲状腺がんの13種類です。
Food Swampの指標として、食料品店や野菜などの直売所の数に対するファストフードやコンビニの店舗数の比率をスコア化し、Food SwampとFood Desertのスコアが高ければ(20.0~58.0)、その地域は健康的な食料品が少ないと判定されました。
以下、結果の要点です。
肥満関連のがん死亡率が高い地域は、死亡率が低い地域と比較して、貧困率が高く、肥満率が高く、糖尿病が多かった。
Food DesertとFood Swampの両スコアが肥満に関連するがんの死亡率と正の相関関係があり、Food Swampスコアが高い地域では、肥満に関連するがんによる死亡のオッズが77%増加した。
妥当でよく分かる結果ですが、注目すべきは貧困と健康的でない食生活の関係が示されている点(論文では黒人住民が多い点も言及されています)です。
肥満や糖尿病のリスクを上げる健康的でない食料品は、比較的安く簡単に手に入るものです(例えばカップラーメンや菓子パンなど)。
一方、健康的な食料品は概して高く、一部はプレミアムもついて、誰もが簡単に手に入れらるものではありません。
食事は健康の基本です。患者さんには体に良い食事を摂りましょうといつもお話し続けています。
しかし、貧困という大きな社会問題を何とかしなければ、食と健康の問題もまた解決されずに残り続けるわけです。
貧困問題はそう簡単には解決しません。
健康的な食料品の価格を下げる方が見込みがありそうですが、果たして実現可能でしょうか?
今後、食糧難の時代がやって来るとも言われていますが、その時、食生活が関連する病気は減るのでしょうか、それとも増えるのでしょうか?
