Riddell et al. (2023). Is There an Optimal Time of Day for Exercise? A Commentary on When to Exercise for People Living With Type 1 or Type 2 Diabetes

今回は研究論文ではありませんが、糖尿病患者さんの運動のタイミングについてまとめられたものがあったので紹介したいと思います。

私の注目する「時間運動生理学」と深く関連する分野です。

1. 朝か夜か

““Chronotype” is a term used to describe individuals’ preference for being a “morning person” or an “evening person” with respect to sleep patterns, physical activity patterns, work preferences, eating patterns, and energy levels. In general, individuals who are early chronotypes tend to do more physical activity in the morning and have greater overall daily energy expenditure than those who are late chronotypes. Early chronotypes also have less risk for cardiometabolic disease over their lifetime. In type 2 diabetes, having a late chronotype is associated with greater caloric intake at dinner, later bedtimes, later wakeup times, and higher A1C levels.”

「クロノタイプ」は、睡眠や身体活動、働き方、食事時間などが「朝型」か「夜型」かといった個人の特性を表していますが、概して「朝型」の人は「夜型」の人より活発でエネルギー消費が多いようです。

また、2型糖尿病患者さんにおいて、「夜型」の人は夜食べ過ぎて寝るのが遅くなる傾向があり、血糖コントロールも悪いことが分かっています。

1型糖尿病患者さんにおいても、夜運動をすると寝ている間に低血糖を起こすリスクが上がるため、どちらかというと午前中の運動が良いのでは?と書かれていました。

2. 食前か食後か?

“However, a recent systemic review suggests that postmeal mild to moderate activity may be the more favorable approach for limiting postprandial glucose excursions, at least in individuals with prediabetes or type 2 diabetes. Postmeal exercise has an acute glucose-lowering effect, as muscle contractions enhance skeletal muscle glucose uptake. Because of the acute nature of this mechanism, completing activity after each meal is likely more beneficial than only completing activity after one meal in people with prediabetes or type 2 diabetes.”

最近のシステマティックレビューによると、2型糖尿病患者さんは食後に、さらに食事を摂ったら毎回運動することで筋肉による糖取り込みが増え血糖値が下がることが分かっています。

グルコーススパイク―食後高血糖が隠れている前糖尿病段階の人ほど食後の運動効果が高いのかもしれません。

食事ごとにインスリン注射が必須の1型糖尿病患者さんの場合、高強度インターバルトレーニング(HIIT)や筋力トレーニング以外の有酸素運動であれば、食前に運動した方が運動後の低血糖リスクが減り良いのではないか?ということでした。

以下Summaryの日本語訳です。

日中の運動時間と糖尿病患者の健康状態や血糖値との関係に影響を与える潜在的なファクターの数の多さを考えると、現在の研究結果が常に一貫していないことは驚くことではありません。しかし、現在のエビデンスにはいくつか共通点があり、将来、研究の焦点となるべきものが示されています。

まず、運動は一般的に、いつ行われるかやその強度に関係なく、糖尿病患者の全体的な健康状態と血糖値を改善します。したがって、実践的な観点から見れば、糖尿病患者にとって最適な結論は、自分ができる運動ルーティンをつくることです。いつでも運動するのが最適であり、自分の生活リズムを考慮して、最適なの運動プログラムを作成することが重要です。

一部のエビデンスによれば、1型糖尿病の患者は、午前中に軽度から中強度のトレーニングを継続することで、健康になり低血糖症のリスクが下がる可能性があります。一方、午後に運動する1型糖尿病の患者は、有酸素運動(持久力トレーニング)よりもHIITや筋力トレーニングの方が血糖変動の管理により有益であるかもしれません。

もう一つの共通点は、食前の運動がインスリン感受性を向上させる一方、食後の運動が糖尿病予備群や2型糖尿病患者の血糖値を最も低下させるということです。食後の運動”exercise snack”または”burst”(つまり、各食後の短時間の運動や階段の上り下り)が、一日を通じて血糖値を管理するために効果的な方法となる可能性があります。

1型糖尿病の患者において、血糖値に影響を与えるファクターはやや複雑です。食後の有酸素運動は血糖値低下に有効ですが、低血糖のリスクが高まることを考慮する必要があります。したがって、有酸素運動の時間と強度は1型糖尿病の状態に合わせて調整されるべきです。低血糖発作が懸念される場合、食前の有酸素運動やHIIT、または食前・食後の筋力トレーニングが1型糖尿病の患者にとって有益かもしれません。運動のタイミングに関わらず、1型糖尿病の患者にはCGM(持続的な血糖モニタリング)と血糖トレンドに基づいた炭水化物の摂取が推奨されます。

糖尿病など病気をお持ちでない人の最適な運動のタイミングは分かりませんが、血糖値に関して言えば、一日の早い時間帯(午前中、遅くても夕食前まで)に運動をする方が良さそうです。

そして、夕食は少なめにすることです。

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