学びとリスキリングは違う

リスキリングのことを「学び直し」と訳すことが多いですが、これは誤解を招く表現だと思います。

リスキリングはReskillingであり、skillは技術・技能のことです。

つまり、リスキリングとは、”社会人が新しい職業に就いたり(転職や副業)現在の職業における適応範囲を広げたりする際に必要な技術・技能を獲得すること”です(と私は考えています)。

一方、学びにはもちろん、skillに加えknowledgeやwisdomが含まれます。

国が推奨するリスキリングのような目先の利益に囚われるものではありません。

(超少子高齢化社会にあってリスキリングによって国民の生産性を上げたいという気持ちは分かりますが、手段が目的化しないように気をつけた方がいい)

人の一生涯というスパンで観たとき、リスキリングは比較的短期的なもので、学びは長期的なものと言うこともできるかもしれません。

リスキリング中に新たな気づきを得て、それが学びにつながることもあるでしょう。

ですが、やはり、学びとリスキリングは違うものです。

リスキリングを学び直しと呼ぶことは、大人の学びは実利に結びつけるべきかのような印象を抱かせます。

(食べて、収入を増やし、社会的ポジションを上げるためには、実利を求めるのは当然なのですが)

たとえ実利を生まなくても、大人の学びは楽しくその人の人生を豊かにしてくれます。

それぞれ目的と結果は異なるはずなので、きちんと分けて考えなければ、「こんなはずじゃなかった」と後悔することになるかもしれません。