Feng et al. (2023). Associations of timing of physical activity with all-cause and cause-specific mortality in a prospective cohort study.

運動に関する興味深い研究が発表されました。

糖尿病の患者さんから、「運動はいつやれば一番効果的ですか?」としばしば質問されますが、はっきりとした回答はできていませんでした。

今後、この研究のような“時間運動生理学”(私の造語)の研究が進めば、患者さんの様々な特性(年齢・性別・体格・治療状況など)を加味したうえで、その人に最適な運動の時間をアドバイスできるかもしれません。

最近、健康を向上させるため、日常行動のタイミングの役割についての関心が高まっていますが、健康上の利益を最大化するための適切な運動のタイミングについてはあまり分かっていません。

筆者らは、UKバイオバンク参加者92,139人のデータ(活動量を測定する加速度計のデータ、全死亡率および特定の疾患による死亡率)を用いてコホート研究を行い、中央値7年にわたる追跡期間(638,825人年)において運動と健康上のアウトカムとの関係について調べました。

中程度から高強度の運動(MVPA=健康に良い効果があるとされる強度の運動)は、どの時間帯においても、全死亡、心血管疾患、がんによる死亡のリスクが低いことが示されました。さらに、朝だけ運動を行うグループ(5:00-11:00に毎日のMVPAの50%以上を行う)と比較して、昼から夕方に運動を行うグループ(11:00-17:00)と午前と午後両方に運動を行うグループは、全死亡と心血管疾患死亡のリスクが低くなりましたが、夕方から夜に運動を行うグループ(17:00-24:00)においてはそのような良い効果が見られませんでした。

この関係は、高齢者、男性、運動不足の参加者、または既存の心血管疾患のある参加者においてより顕著でした。本研究の結果は、運動を行うタイミングが公衆衛生上有益な効果をもたらす可能性を示しています。

主に朝に運動をするグループと比較した結果のようですが、端的にまとめると運動を行うタイミングは「昼~夕>朝>夜」の順に健康効果があるということでしょうか。

一つの観察研究に過ぎませんが、参考になるデータだと思います。

日中は仕事をしていて運動をできない患者さんも多いですが、仕事中に体を動かす習慣をつけること、そのような環境を企業・会社が提供することを期待しています。

みんなが健康になるためには社会の変化が不可欠です。