上半身と下半身はつながっているのだから一体化しているのは当たり前じゃないか、と思われるかもしれませんが、武術・武道においてこれを完璧に会得するのは結構難しいです。
頸から胸、腰にかけて椎体が頭部と骨盤をつないでいるので、上半身と下半身がバラバラに動くことはありません。
連動はするのですが、突きにしても投げにしても、相手に力を加える動作においてタイミングを合わせて流れるように力を伝えるのがとても難しいのです。
相手を掴んで投げる場合、上半身の手や腕に力が入り過ぎて下半身や体全体の力をうまく伝えることができなくなるのはよく見ます。
よほどの力持ちでない限り、腕一本の力なんてたかが知れているので手の力だけで投げようとしても相手は崩れてくれません。
突きを打つ場合、相手の方向に体(重心)を移動させなければ体重の乗った威力のある突きにはなりません。体を移動させるには下半身の足腰を使わなくてはならないので、手の攻撃にも下半身が重要になってくるわけです。
上半身の力だけを使った攻撃はへなちょこです。
20代の初め、廣原先生の身体操作を見て、上半身と下半身が完全に一体化した動きに感動しました。
先輩方との飲み会の席で、生意気にもそのことを熱く語った記憶があります。なんとおこがましい!
以来、目に焼き付けた先生の動きを再現しようと日々稽古しておりますが、少しは理想の動きに近づけたでしょうか?自分では分かりませんが、若い頃よりはいくらかましかもしれません。
20代以降、筋力は時間とともに衰えていきますので、力に頼った技は使えなくなります。
上半身に下半身(上半身よりも圧倒的に筋肉量が多い)の力を、一瞬で流れるように伝え、爆発力を出すことで筋力とスピードといった身体機能の衰えをカバーできます。
この上半身と下半身の一体化をビジネスでアナロジカルに考えてみます。
上半身の動きは、主に手ですが、相手への積極的な指示や交渉=介入にあたります。
一方、下半身の動きは、主に足ですが、自分の立場を強くする自己研鑽(学び)や人間関係作り、根回しに相当すると言えるでしょう。
すなわち、上半身と下半身の一体化したビジネスというのは、ある目標(売上や利益)において、短期的には直接関係がないような内的環境/外的環境の地固めを行い(=下半身)、実際の業務(=上半身)の効果を最大化させること、となります。
言葉にすると、なんだ当たり前じゃないか、と思われますが、これを流れるように行うのは実は大変なことです。
一体化しているように見えてもちぐはぐで効果がいまいちということも大いにあり得ます。
常日頃から先を見据えた「下半身」の強化をどれだけできるかがインパクトの大きいビジネスを成功させる鍵だと思います。私も長期的視野に立ち、「下半身」を鍛えているところです…(実を結びますように)。
上半身と下半身の一体化した身体操作は美しいですが、そのようなビジネスもきっとスマートに見えることでしょう。
