日本に本当のオンライン大学院はあるのか?

あるようですが、ほとんどが私立大学のコースで、英国のように一流(ランキングの高い、その是非には問題があるにしても)大学が、全世界の学生を対象に開講している大学院コースはなさそうです。

もちろん、大規模公開オンライン講座(MOOC=Massive Open Online Course)はたくさん開講されています。

東大・京大クラスの講義を無料で受講し学べるというのは、学びたいオトナたちにとって魅力的です。

ですが、それは大学院ではありません。

以前、形あるもので書いたように、学びは形として残すことが大切だと思います。

(学びの意義は学ぶ人の哲学に拠って立つものなので、形に残らない学び、実利を求める学びももちろんあります)

オンライン大学院はほとんどがIndependent studyですが、その課程において最も刺激的かつ重要なのは、指導教官といろいろとコミュニケーションをとりながら、時にダメ出しを受け時に褒められ、オリジナル性の高い研究をして論文としてまとめること、です。

なにも研究者たれ、というわけではありませんが、研究と論文執筆によってクリエイティビティが涵養されます。この経験が学びを深くし、その後の人生にポジティブな影響を与えるはずです。

東大・京大クラスが、仮に、学位・資格取得可能なオンライン大学院を開講したらニーズがあると思います。

米国や欧州のオンライン大学院のようにすべて英語で行う必要はありません。日本語>英語で世界が求める日本文化のオンライン大学院コースを作れば良いと思います。そもそも言語の問題に関しては早晩AIが解決してくれる気がします。

例えば、京都精華大学にはマンガ学部がありますが、有名大学にマンガ学・アニメ学修士課程を作り、オンラインで全世界の学生を募集すればそこそこ学生が集まるのではないでしょうか。

今や世界に広く受け入れられたと言って良い、日本発のマンガ・アニメ文化を若く有望な外国の方々に学んでいただき、学位・資格と就職の機会を与え、その後日本と出身国との間で流動的に活躍していただく―ことが、学びを通して日本の新しい未来を創るひとつの可能性になるのではないでしょうか。

日本の大学は学生が減り今後はどんどん閉鎖されていくでしょう。

先日、恵泉女学園大学が閉学するというニュースが流れましたが、このようなニュースが次々と報道される時代がやって来ると思われます。

大学は国内ではなく国外に学生を求め、学費を集めて財務状況を向上させるべきです(日本の国としてのブランド力はもう失われつつある)。

すでに、そのような取り組みは行われているはずですが、既存の学部・学科だけでは到底、海外の有名大学に太刀打ちできません。

日本の強みであるマンガ・アニメ文化を学ぶオンライン大学院をぜひ開設してほしい。世界で唯一無二の存在になれる。

オンライン大学院開設は成果が出るまで少し時間がかかるかもしれませんが、きっと未来への投資になるはずです。