“観の目“という言葉をご存知でしょうか?
宮本武蔵の「五輪書」に出てくる言葉で、武道・武術を学ぶ者にとって極めて重要な言葉です。
人と対した時、一点を見ない、全体を見る。
相手の目、手、足、一部の動きに意識を囚われないようにする。相手の体全体を見て全体の一部として動きを捉える。
大雑把に言うならば、“ぼんやりと見て、的確に変化をつかむ”。
道場生にも日々指導していますが、相手を同じ次元(線・面・高さ)で見るのではなく、相手を頭上から見渡すように見るように意識する。※上から目線、ではありません!
間違っているかもしれませんが、これが私の解釈です。
宮本武蔵は武人ですから、武道・武術の範疇での解釈になりますが、実はこの言葉、社会生活における対人関係に応用が効きます。
仕事においても家庭においても、人を一点・一面の特徴から見てしまうと、その人の本質を見誤ります。
きっと、気に入らない点や面は鼻につき目立ち、自分の心が囚われてしまいがちなのですが、一旦離れて見てみると、それがその人のほんの一部でしかないことに気づくことがしばしばあるのではないでしょうか。
“観の目”は、瞬間的には人を全体で見て、経時的にはその変化に注意することの大切さを表しているのだと考えます。
刹那に囚われないこと。
自分も相手も、人間は変わりゆく存在です。
“観の目”をもつことができれば、敵対関係で負けることはないでしょうし、対人関係も円滑になるはずです。
